【今日は何の日?】私立探偵と「ファッション小説」

2017/09/17 04:25 更新


 1932年9月17日は、小説家のロバート・ブラウン・パーカーの生まれた日です。アメリカのマサチューセッツ州に生をうけています。ボストンの私立探偵「スペンサー」の生みの親として広く知られています。スペンサーが登場するのは、73年の『ゴッドウルフの行方』が最初です。

 スペンサー物が大きなうねりとなるのは、『初秋』以降でしょう。81年に発表され、スペンサーの優しい人間性が強く前に出ています。これでブームになった、と言っても過言ではありません。

 パーカーはスペンサーで多くの「服装」を語った作家です。言わば「ファッション小説」でもあります。私立探偵はさまざまな人に会うのが仕事で、それらの服装をさりげなく描写したのです。少なくともアメリカの、ボストンの、70年代以降の服飾史の一端があらわれています。

 例えば「スーツは一分の隙もなく、ズボンにぴんと筋がついている。羽をさしたチロル帽をかぶり、白いレインコートはいつも着たままだった」。これは『ゴッドウルフの行方』のマーティン・クワーク警部補の着こなし。当時のボストンでは警察官はそんな格好だったのでしょう。(服飾評論家・出石尚三)

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