楽天ファッション・ウィーク東京25年秋冬は、季節外れの雪や春の陽気が入り混じる寒暖差の激しい1週間となった。春らしい軽やかな装いの人もいれば、真冬のような重ね着をしている人もいて、トレンドが見えにくいシーズンだったとも言える。そんな中で印象的だったのは、クラシカルな要素を取り入れたメンズのドレスアップスタイルだ。
(坂入純平)
【関連記事】楽天ファッション・ウィーク東京25年秋冬 ぶれない軸で異なる要素をミックス
象徴的だったのはレザーシューズ。テーラードジャケットやスラックスなどきちんとしたアイテムに合わせるほか、デニムのセットアップのようなカジュアルな装いを引き締めるアクセントとしても取り入れられていた。

近年主流だった「サロモン」などの機能的なスニーカーや厚底シューズは少し減った印象。今季はソールの薄い、ラウンドトウやスクエアトウの黒のレザーシューズが増えた。そのほか、キューバンヒールの靴もちらほらと見かけた。ジェンダーレスの流れというよりは、70年代を思わせるクラシックなメンズアイテムとして取り入れられているようだ。レザーシューズは全般的に新品が高騰しているため、古着で購入したという声が多かった。


こうした足元の変化とともに、スタイリング全体にも落ち着いたムードが広がった。ドレスアップスタイルを印象づけていた要素の一つが、シャツの選び方だ。オックスフォードなどカジュアルな素材ではなく、ツイルやブロードのような光沢感のあるドレッシーな生地が多かった。色はホワイトかサックスブルー。タイドアップしている人もいた。サイズ感もオーバーサイズではなく、ジャストから少しリラックス感のある程度。


パンツは引き続きワイドが主流だが、徐々に細身へとシフトしている印象がある。丈も、ここ数シーズンよく見かけた裾を引きずるような丈の長いパンツはほとんど見なくなり、クッションが軽くたまる程度の長さに落ち着いていた。

色使いにもそのムードが表れていた。ブラック、グレー、ブラウンなどの落ち着いたトーンがベース。赤をアクセントに使っている人が多かった。


こうしたドレスアップスタイルが広がりを見せる一方、「カミヤ」などストリートを背景にしたブランドのショー会場には、レザージャケットを着た、いかつめのメンズがかなり多かった。ボトムもワイドなデニムパンツやカーゴパンツなどが根強い人気を維持している。