楽天ファッション・ウィーク東京25年春夏 中堅の力強さと完成度の高いプロダクト

2024/09/10 06:30 更新有料会員限定


 楽天ファッション・ウィーク東京25年春夏は、デビューから10年近く経過する中堅デザイナーの力強さが目を引いた。表現に対するぶれない軸と、物作りを支えるチームの両軸がかみ合って、夢とリアリティーを感じさせるプロダクトを作り上げている。

(写真=チカキサダ、ピリングス、ユェチ・チは堀内智博、サルバム、ウィシャラウィッシュは加茂ヒロユキ)

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フィジカル

 チカキサダ(幾左田千佳)のショーは、薄暗い地下の空間でチェロの鈍い音とともに始まった。くちびるを真っ赤に塗ったモデルは、パープルのレース柄のレオタードにタイツを着用して全身タトゥーのような装い。その下には、クロシェニットのレオタードを重ねる。ボディーコンシャスな線をクラフトタッチのディテールで強調した。幾左田が着目したのは、バレエをモチーフにした形で違和感を出していくレイヤリング。体の線とは異なる造形的なフォルムによって、フェティッシュな女性の魅力をリアリティーを持って表現する。花柄のビュスティエにシアーなピンクのシャツをレイヤード。その下には貞操帯を着用する。毒気とエレガントな美しさが共存するかのようなスタイルだ。クロシェニットのドレスの下にはバッスルを前にして着ける。透かし編みが浮いたような見え方になって、生身の体の存在を一段と強く感じさせる。

チカキサダ
チカキサダ

 デコルテをレオタードのように大きく開けたテーラードジャケットは、ショルダーのシームが落ちかかるように作る。ベアトップドレスにはアシンメトリーなビュスティエをレイヤード。遠目に見ると、その存在がオブジェのようになって余韻を残す。バレエの精神性を伝える幾左田の飽くなき探求心と、それらを完成度の高い製品にしていく生産のチームが一体となって、新しい美の形を作り上げている。

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