【変わる素材見本市の役割】PVパリ20~21年秋冬㊦

2019/10/15 06:27 更新


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未来への投資

 プルミエール・ヴィジョン(PV)パリ20~21年秋冬には、日本からも58社・ブランドが出展した。うち、中核のPVファブリックは、出展10年以上のベテラン勢も多く、欧州トップブランドへの足がかりから、もう一段進み、新たな価値を見出している。

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■世界の見本市に信頼

 日本の出展者もこの数年、「秋冬向けの商談は、PVパリでは遅い」という意見で共通する。それゆえに、出展や渡航にかかる費用と得られる効果を悲観的に見通し、輸出拡大を志しながらも、出展を断念するケースもある。

 一方で、長年出展している企業からは、その効果に絶対的な信頼が置かれている。それはPVパリが世界最高峰の素材見本市として揺るがず、世界中のバイヤーを引き寄せているからだ。

 スタイレムは「費用対効果より、未来への投資」と言い切る。既に出張ベースでの個別企業訪問や、PVパリのプレビュー展などで顧客へのプレゼンテーションを済ませており、顧客には「もらった宿題をPVパリで提出している」。接点を築く場として、新たな出会いを増やし、世界で知名度を上げる。新規客の獲得に役立っているのが、急な要望にも対応できるストックサービスだ。トレンドを意識した品揃えと毎回「形を変えた提案」が、リピーターをつかんでいる。

 「メーカー、顧客が全世界から集まり、同じ目線で会話できる機会はない」と、帝人フロンティア。毎回新しい発見があり、クリエイションのアイデアが得られる。リピートがつくようになるにつれ、開発の深い話ができるようになった。企業をPRする場としても重要だ。この数シーズンは、エコ素材を開発するメーカーとしてのイメージが定着し、サステイナビリティー(持続可能性)の流れが追い風になっている。

 国籍だけでなく、分野も広い。「衣料だけでなく、靴やかばんなどの資材、水着」(帝人フロンティア)向けの素材を探すバイヤーも多い。東レの婦人・紳士衣料事業部は、スポーツアパレル企業の来訪が増えていることから、スポーツ素材を増やし、担当者も配置した。ショーウィンドーには、表地はファッション、裏はスポーツ素材で感性と機能性を兼ね備えた製品サンプルを飾り、関心を集めた。

 国際性は、出展者でも高まっている。PVファブリックだけでも、43カ国を数える。かつて、出展には欧州の国籍が必要だったが、近年は、中国やインドといった非欧州の勢いが目立ち、「玉石混交」と批判する声も聞こえてくる。ただ、世界市場を競う出展者にとって、その環境は、世界市場での立ち位置を測る「一つのバロメーター」(エイガールズ)となり、次の開発に生きている。エイガールズも、主要対象のラグジュアリーブランドには、PVパリのプレビュー展や個別訪問で、既にプレゼンテーションを終えており、PVパリへの出展は、新規客との接点や遠方の客とのコミュニケーションとともに、「(自社が)世界でどういうポジションにいるのか感じる」ことも目的になっている。

 「何でも作れるからこそ、そこにない物を作る」と話すのは、帝人フロンティア。顧客のニーズをとらえ、さらに世界市場で差別化できる素材の開発に活用している。

■国内への還元も

 東レは、主要販売先は6、7月にエージェントと訪問し、商談を8月中旬までに終えている。9月のPVパリは、そのおさらいと追加商材の提案が中心で、「PVパリで新たに生じる商売は少ない」。固定客とは、21年春夏に向けた開発の打ち合わせも行うという。「純粋な費用対効果はわからない」が、その意義は大きいと見ている。

 出展して15年、休止した時期もあったが、再び継続して出るようになった。顧客に輸出事業にしっかり取り組んでいるという姿勢を見せるためでもある。その発信は社内においても重要で、「若手の経験値にも」つながる。また、9月のPVパリが公に来秋冬物を見せる初の機会であり、このフィードバックを国内展にも生かす。「伊ブランドから人気」といった文句も、国内では高い付加価値になる。

ファッション素材でスポーツテイストのサンプルを作り、新規開拓を狙った東レ
(繊研新聞本紙19年10月2日付)

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