プロモ 〝プリント技術×健康〟の新事業 特殊シートを貼るだけで快適製品に

2025/08/22 06:26 更新NEW!


転写シートを既製品や手持ちの製品に熱圧着して貼り付ける(「リフレクトコア」技術を活用した製品「ホグミー」のTシャツ)

 各種印刷やポッティング加工を強みとするプロモ(東京)が、プリント技術と健康をかけ合わせた新事業に乗り出した。同社は遠赤外線の放射率が高い鉱石のパウダーを活用したDTF(ダイレクト・トゥ・フィルム)プリント技術「リフレクトコア」で転写シートを開発した。このシートを手持ちの衣類や寝具などに家庭用アイロン程度の熱で圧着し、遠赤外線によって適度な温かさが感じられる快適製品に変える。中沢直哉社長は「体のコンディションを維持する〝プリントヘルス〟テクノロジー」として訴求したい考えだ。

(小堀真嗣)

 リフレクトコアに用いた鉱石は、「日本国内のあらゆる鉱石を入手して厳選」した溶岩鉱石。その溶岩鉱石の遠赤外線放射率は、長崎県窯業技術センターで測定したところ94.5%という高い数値が出ている。この鉱石をミクロンレベルのパウダー状にし、DTFプリントで使う粉末糊と均一に混ぜ合わせた。この混合技術・ノウハウを駆使した独自の糊剤も含め、リフレクトコア技術は特許申請中。同技術により、溶岩鉱石の高い遠赤外線放射性能を転写シートとして最大限に生かした。

体の中心線に沿って

 転写シートを衣類に貼り付ける場合、中沢社長によると「体の中心線に沿って貼るのが効果的」という。胴体なら胸椎(きょうつい)に沿って背中と胸・腹部に当たる箇所。そこに前後で4枚を縦に並べて貼り付ける方法を基本パターンとして提案している。「肩や腰、ふくらはぎなど気になる部位があれば追加できる自由度が高い商品」と話す。

 8月上旬から応援購入サービスのマクアケでリフレクトコア技術と、この技術を活用した製品ブランド「ホグミー」を訴求する狙いでプロジェクトを始めた。応援購入できる商品は転写シートの32枚セット(一般販売予定価格は税込み5500円)と、転写シートを前後に4枚ずつ貼り付けたTシャツ(同)。プロジェクト開始から10日が経過した時点で応援購入総額は約430万円(目標金額は10万円)に到達した。

溶岩鉱石パウダーを活用しDTFプリント技術で作った転写シート

既存事業の強み発揮

 中沢社長はマクアケのプロジェクトを通じてリフレクトコアの認知を広げ、BtoB(企業間取引)に結び付けたい狙いがある。例えば、コンサートなどのイベントグッズ、製造業やサービス業のユニフォーム用途を想定し、転写シートの量産・供給を目指す。シートの形状や、企業あるいはブランドロゴといったデザインの要望にも対応する。転写シートに特化すればグループ会社のネットワークを生かし、万単位のオーダーにも短期間で供給が可能。要望があれば協力工場とも連携し、製品への加工に素早く対応する。

 プロモはオリジナル印刷のノベルティーグッズ製作の会社として00年に設立。翌年にはシールラベル印刷設備、06年には透明なポリウレタン樹脂をシールラベルに塗布して硬化させるポッティング加工技術を導入。以降はポッティング加工の品質が評価され、ポッティングシールの販売を中心に実績を積み上げていった。20年には印刷事業やITメディアを組み合わせたセールスプロモーションを得意とする日本創発グループの傘下に入った。

 リフレクトコアを開発するきっかけは、中沢社長がかつて過度なストレスから体調を崩し、日ごろから健康維持を強く意識していたこと。そこで始めたマラソンにのめり込み、効果的なトレーニングや栄養摂取の仕方、体の姿勢、呼吸方法、血流など関心が広がっていった。その過程で鉱石パウダーを使ったテーピングの効果を体感し、鉱石の実用性に対する期待が膨らんだ。既存事業のDTFプリントで使う粉末のりに鉱石パウダーを混合するアイデアを思いつき、「印刷・プリント事業で培ってきた強みを十分に生かせる」と技術開発に着手した。

中沢直哉社長


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