《視点》イタリア時間、日本時間

2018/05/02 03:55 更新


タオルミーナ

 日本にいると効率や合理性が優先され、常に時間に追われているような気がする。先日訪れた南イタリアの島で、時間に対する感覚の違いを実感した。

 展示会の取材の最中、「(会場となった大学の)図書館を案内する」と突然のお誘いがあった。行ってみると確かに歴史的な建物の中に古い書物が並ぶ館内は素晴らしい雰囲気。ただ、半日しか予定されていなかった展示会取材の最中のこと。「これはいつまで続くのか」と疑問が湧いてしまった。

 街の歴史や文化、そこに流れる空気も、物作りや仕事の一部。イタリア人はそうした側面も含めて伝えたいのだと、同行した人から聞かされた。歴史的な建物で展示会を開くこと、そこにある素晴らしい図書館を案内することもすべて、展示する商品や作る人々を理解してもらう手助けになると思ってのことなのだろう。図書館ツアーに疑問を感じてしまったことを振り返り、反省する。

 とはいえ、帰国して時計の針を戻せば、すぐに日本時間が流れ始める。〝ちょうどいい〟を見つけるのは難しい。(壁)



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