《「ピッティ・ウオモ」にみる海外展示会の活用方法㊤》念入りな準備が市場を開く

2024/07/25 12:00 更新


エミネントの「ループ」のブースで商談中の高野圭右社長(右から2人目)と英・ハンツマンの担当者

 経済の低迷や少子高齢化による市場の縮小、モノからコトへの消費の変化で、日本のファッション業界が冷え込んでいる。国内市場だけに頼っていては心もとないと、海外市場を視野に入れ、ピッティ・イマージネ・ウオモ出展など行動に移す日本ブランドも増えてきた。

国内ルールは通じない

 15年ほど前から、日本ブランドの海外進出サポートやイタリアなどの合同展示会内に設けられたジャパンブースでの販売促進のお手伝いをしてきたが、正直なところ、なかなか成果が出せないブランドも多い。これまでの日本のファッション市場はそこそこ大きく国内市場だけで商売が成立していたため、日本独自の業界ルールなどが少なくない。海外の小売店が日本ブランドを仕入れる場合、支払い条件や輸入作業、コミュニケーションの大変さなど、障害は多い。

 ブランドのプレゼンテーションが今ひとつだったり、日本サイズだけしか用意していないだったり。海外では当たり前のことができていない場合も少なくない。海外販売をする場合、マーケットに合わせたやり方が必然なのにだ。本気で海外進出を考えるのであれば、継続しなければ時間とお金は無駄になってしまう。途中で続かなくなる危険性があれば時期を遅らせ準備ができてからの方が余程いい。

飛び込み営業のススメ

 販売方法としては一般的に、展示会出展や販売エージェントを介しての販売が考えられる。コロナ以前から展示会の勢いは衰え始め、どの展示会も集客が厳しいが、海外進出する場合はやはり展示会に出展するのが一番現実的だ。バイヤーと直接会って自社製品のアピールができるし、他の出展者から有益な現地情報を得ることもできる。

 展示会出展で効率を上げるには、興味のある店舗に実際に行き営業することをおすすめする。まず、自社ブランドを販売したいお店にあるであろうブランドを見つけ、そのブランドが入っている店鋪のリストをあげ、店に直接出向き、商品を見てもらうのが良い。

 その際に、バイヤーにはブランドと自身のことを覚えてもらうことが重要なので、なるべく展示会前に行くべきだ。展示会前だと興味をもってもらえれば再度、展示会で会うことができる。日本だと店舗で商談をしてくれない場合が多いそうだが、ヨーロッパのお店の場合、かなりの確率で商品を見てくれる。時間も長く取れ、様々なアドバイスをしてくれる場合が多い。私は今でもこの方法で担当ブランドの商品をもって店を回り、実際に成果を出している。

 「日本ブランド」に対する海外バイヤーの期待や信用は高く、一方の日本ブランドにとっても現在の超円安のメリットはかなり大きい。

(ミラノ在住ファッションコーディネーター・坪内隆夫)

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