ピリオドが沖縄にスクール開校 〝幻の琉球パナマ帽〟の作り手を育成

2025/05/16 06:25 更新NEW!


沖縄で作り手の育成を始めたピリオドの清原代表

 帽子メーカーのピリオド(東京)は6月、沖縄県那覇市のアートギャラリー&ショップ「ホンノパーク」で、〝幻の琉球パナマ帽〟を作る人材を育成するスクールを開校する。年4回を予定。背景には「歴史・伝統・技術を途絶えさせてはいけない」(清原世太代表)との思いがある。

(大竹清臣)

生産が追い付かない

 琉球パナマ帽は、沖縄沿岸部に自生する植物のアダンを材料にした帽子。100年以上前に高級帽子として海外に輸出され、1911年には砂糖(サトウキビ)、泡盛に次ぐ生産高で3大地場産業の一つだった。その後、戦争などで衰退し、現在は沖縄でもほとんど知られることなく、〝幻の産業〟となった。その琉球パナマ帽を沖縄に残っていたボーシクマー(帽子を編む人)とともに復活させ、米ニューヨークなどで販売したのが清原代表だった。

100年位以上前に海外に輸出されていた歴史がある琉球パナマ帽
沖縄沿岸部に自生する植物のアダンを材料に手編みで作る

 長年にわたり、帽子の製造卸・販売を営んできた清原代表は「琉球パナマの編みは繊細で美しく、他国の帽子にはない魅力を持ち合わせている」との思いが強い。魅力的で希少な純日本産の琉球パナマを世界中に広めるため、国内外の展示会やイベントなどに出展しているが、反響に対して製品にできるレベルの帽子材料(帽体)の製作が追い付かず、イベントや注文を制限しているのが現状だという。「この帽子を未来に残すためにも、ボーシクマーを1人でも多く育成し、産業の規模を大きくしていくことが必要」だと考えている。

講師、作家の道も開く

 スクールは、講師1人当たり3人までの少人数制とし、きめ細やかな指導で高度な技術を習得可能。専用の工具もスクールで用意するため、初心者でも安心して学べる。講師となるボーシクマーは全国伝統的工芸品公募展で2度入選した技術者をはじめ、確かな技術を持ったスタッフが務める。帽子会社が運営しているため、帽子の基礎知識や技術から、デザインのアドバイスまで受けられる。また、帽子デザイナーとして、ピリオドの販売イベントへの出店なども可能。

 既定のコースを修了後にライセンスが発行され、上級ライセンスを取得すれば同スクールの講師になることができる。帽子作家になるステップにもなり、作成した既定の帽体を運営会社が委託・買い取りするなど収益が得られる。

 初級・中級コース(各10万円)、上級コース8万円、上級ライセンス試験2万円。



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