縫製とプリーツ加工を手掛ける生田プリーツ(埼玉県吉川市、生田貴之社長)は、外部のプロダクトデザイナーと昨年立ち上げた自社オリジナルブランド「PCP」で、アイテムを増やし卸先の開拓を目指す。
(大竹清臣)
本業の服とは異分野のインテリアや服飾雑貨の市場を狙う。商品開発の第1弾では、得意のプリーツ加工を生かしたストール4型を提案した。ポリエステルの生地にプリーツ加工で立体的な陰影を付けることで、伸縮性や防しわ性を高めた。水洗いも可能。ひだの間に空気が溜まるため、見た目よりも温かくなるという。細幅(税込み8800円)と大判(1万6500円)を揃える。
初めて出展した東京のライフスタイル系の大型展示会では、プリーツ加工への注目度が高く、「アート作品的にホテルの壁に飾っても面白い」など異分野の人たちから様々な意見を聞き、「アートやインテリア用途などにプリーツの新たな可能性を感じた」(生田社長)という。
今春にはファクトリーブランドなどが多い東京の合同展に出展した。継続提案したストールに加え、プリーツ加工したクッション(1万6500円)やスマートフォンショルダー(同)、サブバッグ(5500円)、ブックカバー(4400円)などを出した。クッションはインテリアショップから好評で、他のアイテムも雑貨店などから人気だった。
自社ECサイトではオリジナルブランドの各商品を販売している。生田社長は「自社ブランドによって技術力を強みに、従来の延長線上ではなく、新しい分野に踏み出せた。卸先の開拓はこれからだが、OEM(相手先ブランドによる生産)を含めて可能性が広がりそうだ」と話す。
同社は76年に設立した、プリーツ加工と婦人服縫製が主力の工場。有力デザイナーブランドなどの生産を担う。コロナ下には、自社生産・販売した吉川市のキャラクターをプリントした布マスクが地元から愛されたのはもちろん、自社サイトから全国にも販売した。今春から、同業他社や服飾専門学校などと共同運営する縫製学校が本格始動する。