パタゴニア日本支社は、アパレル企業の枠にとどまらない活動を繰り広げている。気候変動による海水温上昇などで日本沿岸の生物多様性が損なわれている中、同社では沿岸域の再生に取り組む「リッジ・トゥ・リーフ」(RTR)プロジェクトを立ち上げ、全国12カ所で支援。知見の提供・共有や資金援助などに取り組み、30年までに得られた教訓から新たな法制度や補助金の創設につなげる。RTRを「日本支社にとってのフラッグシップ」と位置付けるマーティ・ポンフレー支社長に聞いた。
(杉江潤平)
地域でケアする文化
――RTRの狙いと意義は。
日本の国土の70%が山岳地帯である一方、人口の80%が沿岸地域に居住している。海面上昇や海洋汚染などは多くの人に影響を受けやすい。(沿岸部の問題を解決するには)山と海の健全なつながりを取り戻すことが重要だが、日本には既に「里山」「里海」の概念があり、地域の人々がケアする文化がある。だから日本人に危機感も共有されやすいと思う。このプロジェクトは日本オリジナルだが、パタゴニアのミッションステートメント「私たちは故郷である地球を救うためにビジネスを営む」に直結する。
――赤土の流出でサンゴ礁に被害が出ている久米島で、畑と道路の間に植物を植えて流出を防ぐ活動をする団体などを支援している。支援先の選定基準と支援金の総額は。