【パリ=小笠原拓郎】23年春夏パリ・オートクチュールは、それぞれのメゾンの物作りの背景を生かしたオリジナルの世界が繰り広げられた。メゾンの伝統を背景にしたアニマルモチーフ、ボディーへの意識、クチュールテクニックとユーモアを織り交ぜたデザイン。それぞれのデザイナーがオリジンの技術を軸に新作を揃えた。
(写真=大原広和)
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シャネルのショー会場に入ると木の板で作られたラクダのオブジェが置いてある。ショーの冒頭には同じような木の板や厚紙で作られたたくさんの動物のオブジェが現れ、村の広場でのパレードのような雰囲気となる。その手作り感のある動物のオブジェの中から、モデルたちが登場する。
春夏はカンボン通りにあるガブリエル・シャネルのアパルトマンから着想を得た。そこにあるライオンや犬、鹿、鳥、ラクダなどのオブジェや彫刻、ドローイングがインスピレーションとなっている。
シャネルのアイコンともいえるツイードジャケットやコートにジグザグ模様が走り、身頃には金色のアニマルモチーフの装飾が施される。たくさんのラメツイードやビジュー刺繍のドレス。ふんだんに手仕事を入れてラグジュアリーな素材感を強調しながら、カッティングはすっきりと軽快に仕上げている。それは23年春夏プレタポルテで見せたヴィルジニー・ヴィアールの軽やかなミニスタイルとも重なる。