【パリ＝小笠原拓郎、青木規子】23～24年秋冬パリ・コレクションは引き続き、ベーシックなデザイン、スタンダードなスタイルが勢揃いする。それをいかに今っぽく新鮮に見せるか。デザイナーにとってそれは重要課題となっている。刺繍やビーズ、スパンコール飾り、アップリケ。手仕事で新しい表情を作るブランドが増えている。
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ドリス・ヴァン・ノッテンのショー会場は、舞台と客席のある大きなホール。そこにドラムソロの生演奏に合わせて静かにモデルたちが現れる。そのコレクションからは、服に対する深い愛情や豊かな造詣（ぞうけい）を感じることができる。
マスキュリンなテーラーリングとブラトップやバンドゥーとの対比、繊細な刺繍と荒々しい切りっぱなし。ドリスらしいたくさんの花の奥行きのある表現、箔（はく）のコーティングやパッチワーク、象眼細工に布の重ね。様々な手法を駆使して、美しさの在り方を探る。
チャコールグレー、黒、ゴールド、ピンク、マスタード、藤色。ダスティートーンを軸にしたカラーミックスで、落ち着きのある雰囲気を作る。テーラーリングのベースとなるのはピンストライプやヘリンボーンなどの英国的な素材。それを構築的なシルエットにして、襟の部分だけ削り取ったかのような切りっぱなしに仕上げる。あるいは、ウエストシェイプの利いたコートのウエスト部分に、ハ刺しのようなステッチや箔プリントで陰影を作る。
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