《連載 オムニチャネル進捗を読む 16年度ECアンケートから③》モバイル比率 63%と10ポイント以上上昇
EC売上高に占めるモバイルEC比率は63%と、前年度から約10ポイントも上昇した。20~30代を顧客とするブランドでは、スマートフォン経由が70~80%を占めるまでになり、スマホ・モバイル対策がEC売り上げ増には欠かせなくなっている。スマホでの行動・購買データを取得し、個客の要望に沿ったパーソナル提案実現も視野に入ってきた。
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絆を深める
近年のスマホの進化は目覚ましく、操作性・表示速度が大幅に向上している。若年層はオン・オフを問わず、パソコンよりもスマホを使用する状況にある。この変化を受け、モバイル比率の高い上位企業は、前期ネット売り上げに貢献した施策と今期の重点施策の両方に「社内EC体制の整備」「SNSとの連動」「コーディネート提案」を選んでいる。
LINEやインスタグラムといったスマホアプリを介して商品情報やコーディネートを紹介し、まず共感でのつながりを生み、ECにつなげるためだ。スマホを介してのコミュニケーション頻度を高め、サイト訪問回数を増やし、データを取得する狙いもある。
「ブランドコンテンツ作り」も、スマホからブランドを身近に感じてもらう施策だ。企画のストーリーを様々な画像、動画でフォーカスした特集は、受注につながらなくとも、頻繁にサイトを訪れてもらえる仕掛けとして重要になった。
アプリに熱視線
ただし、スマホの小さな画面での商品紹介ページのデザイン、閲覧性と操作性の改善はまだ途上であり、その素早い対応も不可欠。特に決済や配送住所の書き込みは不便で、離脱やカゴ落ちを防ぐため、決済ではアマゾンペイ、後払いといった決済手段の用意が選択肢に入る。
スマホでの利便性や魅力あるコンテンツを、より高い次元で提供できるツールとして、アプリの存在が高まる。「アプリを展開中」企業が回答の約45%を占めた。今期以降に導入予定が17社で、すでに丸井やサマンサタバサジャパンリミテッドが今秋にサービス開始した。GPS連動した実店舗での在庫表示、チャットでの接客サービスだけでなく、個客分析に役立てる重要なツールと見込んでいる。