リオ五輪、世界最速の水着を求めて

2016/08/06 05:38 更新


競泳水着メーカー、頂点への挑戦


 南米で初めてのオリンピック、リオデジャネイロ五輪が開幕した。競泳は大会前半の花形競技。競泳水着は頂点を目指す競泳選手のパートナーだ。100分の1秒の世界で凌ぎを削るトップスイマーのために最高峰の技術を結集し、競泳水着メーカーは世界最速の水着作りに挑戦する。

 


 デサントの「アリーナ」は今春、新型水着「アクアフォース・ライトニング」を発売した。自由形、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライなど異なる4種の泳ぎに共通するドルフィンキックを分析した新水着は、水着の腰から内股にかけて走る「4本の稲妻=ライトニングバンド」(伸長時応力1・5倍のシームテープ)が特徴だ。

アリーナ アクアフォース・ライトニング
アリーナ アクアフォース・ライトニング
アリーナ デサント楡木さん(右)とアリーナ・イタリア ムッシアッキオさん
アリーナ デサント楡木さん(右)とアリーナ・イタリア ムッシアッキオさん

 開発は「トップ選手のドルフィンキックが蹴り下ろし時に船のスクリューのような回旋運動をしている」(デサントの楡木栄次郎アリーナABMマネージャー)ことに着目し、3次元的なキックで理想的な泳ぎをサポートする。

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 ミズノはトップ選手向け水着「GXソニック」シリーズの集大成として「GXソニックⅢ」を発売した。フラットスイムの効果を最大化するためにミズノ独自の動的解析手法でサポート力と動きやすさのバランスを追求し、「FINA(国際水泳連盟)の新たな規定変更を反映して二重生地のサポートエリアを最大化した」(ミズノグローバルアパレルプロダクト本部の吉井宏見氏)。ハムストリングへの力強いサポートでキック力を高め、今大会日本代表チームで最多の着用率を誇る。

 

Cover1「ミズノ」の「GXソニックⅢ」(着用写真は萩野公介選手=中央下段など)
「ミズノ」の「GXソニックⅢ」(着用写真は萩野公介選手=中央下段など)
ミズノ 吉井さん
ミズノ グローバルアパレルプロダクト本部トレーニング・スイムアパレル企画課の吉井宏見氏

 

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 アシックスの新水着「ライオグライド」もスイマー最大の敵である抵抗を削減するために、「全身を一直線の針のような姿勢に保つ」(アシックスグローバルアパレル・エクィップメント統括部の藤田真成氏)新コンセプト「コアスティンガー」を採用した。疲労によって生まれる脚の開きや腰の沈みを減らし、ラストを競り勝つ機能を提案する。

アシックス ライオグライド (1)
「アシックス」の「ライオグライド」(着用写真は鈴木聡美選手)
アシックス 藤田さん(右)とアシックスジャパン知念さん
アシックス 藤田さん(右)とアシックスジャパン知念さん

 

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 ゴールドウインの「スピード」は昨年発売した「ファストスキン・レーザー・レーサーX」に加え、日本開発の新水着「ファストスキン・レーザー・レーサーJ」を発売した。「勝てる水着としての信頼感を醸成した機能や着用感」(渡邊孝夫スピード事業部長)に加え、より日本人の体型にフィットした水着で世界と勝負する。

 

ゴールドウインの「スピード」「ファストスキン・レーザー・レーサーJ」(着用写真は松田丈志選手)
ゴールドウインの「スピード」「ファストスキン・レーザー・レーサーJ」(着用写真は松田丈志選手)

 

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 世界的にはアリーナとスピードが市場を二分する競泳市場だが、今年はアディダスが競泳水着市場に帰ってくる。最新水着「アディゼロXVI」の開発は約4年前に選手の要望を聞くことから始め、ベルリン欧州選手権期間中には3Dボディスキャンによる3Dパターンを作成した。「市場で最も進んだ水着を作るために生物力学と生理学の専門家と協力し」(独アディダス・ディレクター・オブ・フューチャーのデボラ・ヤオマンさん)、スイマーの運動の連鎖をサポートする革新的なテープと素材を開発した。

 ヤオマンさんは北京五輪を席巻した高速水着(スピード社の「レーザー・レーサー」)を開発した人物の一人で、アディダスはリオ五輪を「新たな方向性のキックオフの場」とし、20年の東京五輪に向けた商品開発を始めている。いよいよ開幕した世界最速を巡る戦いは、競泳水着メーカーにとっても世界最高峰を巡る戦いでもある。

アディダス アディゼロXVI
アディダス アディゼロXVI

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アディダス デボラ・ヤオマンさん


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