24~25年秋冬ニューヨーク・ファッションウィークをプレゼンテーションまたは動画で見せたブランドは、それぞれの視点でラグジュアリーを探った。
(ニューヨーク=杉本佳子通信員)
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今年20周年を迎えた3.1フィリップ・リムは、ニューヨークのアジア系クリエイターたちと協業したインスタレーションで見せた。コミュニティーにより深く関わっていきたいという、リムらしい取り組みだ。テーマは「インターセクション」(交差点)。異なるエネルギーが交差するところにバイブが生まれるという視点で、ニューヨークの様々な交差点から切り取った画像とコレクションの一部をディスプレーした。フェイクファーのトリミングをしたフェイクレザーのカフェレーサージャケットとカプリパンツの合わせ、バイカラーの切り替えがモダンなフーディーとトラックパンツなど、セクシーとシック、タフネスが同居するルックが揃う。黒のレザーの上にファンシーツイードを重ねたジャケットは、切りっ放しのフリンジディテールを加え、上品さとタフさをミックスした。
アシュリンは、まずメンズウェアを作り、そこを起点にしてマスキュリンなテーラードをウィメンズウェアに取り入れた。切り替えで立体的なフォルムを作り、量感のあるペプラムを付けたピンストライプのビュスティエ、テーラードの襟を付けたドレープ入りのエレガントなドレス、メンズジャケットの裏の構造を表に見せたジャケットなど、フェミニンなディテールとメンズライクな要素を得意のカッティングで合わせた。
初プレゼンテーションのキャロリン・ジンバリストは、海藻パウダーを加熱して作るバイオプラスチックを取り入れたアーティスティックな服を並べた。ガラスのような透明感のある質感と水彩画のような色が美しい。デザイナーのキャロリン・ジンバリストは、パーソンズのファッションデザイン専攻科を19年に卒業。ファインアートとファッションの両業界で経験を積み、20年に初コレクションを作った。現在はホイットニー美術館とモーダ・オペランディが扱う。