「レシス」(川西遼平)のショーは、立川立飛にある木下大サーカスの特設会場で、プロのオートバイのショーから始まった。テーマは「マッドネスイズライクグラヴィティ」。ピエロにふんしたモデルたちはテープで顔をつり、狂気をはらんだムードが漂う。
【関連記事】東京ブランド26年秋冬 「セヴシグ」「ピリングス」がショー
くたっと体になじんだテーラードスーツに襟が崩れたシャツ。きちんと仕立てられたフロックコートは、着古したように裾が柔らかなシルエットを描く。ありふれた日常着の景色は、トワルを組む過程を体現したスタイルへと変わる。ヌードボディーを模したTシャツにジャケットの身頃半分をレイヤード。トラウザーには平面のパターンを重ねて立体感やシルエットを強調する。トワルに見立てたシャツには黒い布でドレープを寄せて影を作り、服作りの過程にある不完全な美しさを感じさせた。

後半は川西らしいクラフトマンシップの詰まったワードローブ。ファーをパッチワークしたハーレークイン柄のロング丈プルオーバーに太い糸がむき出しになったローゲージのベスト。ワークブルゾンやパンツは、パステルカラーをのぞかせてダーティーに加工し、グランジな雰囲気を現代的な色彩で新鮮に見せる。無骨さのある服作りを強みとする中で、柔らかさを帯びたボリューム、いびつさのあるシルエットがコレクションに深みを出した。


設立5周年を迎えた「タナカダイスケ」(田中大資)の会場は東京・三越劇場。ロココ調の装飾で彩られた劇場に階段を設置し、きらめく男女のスターが降りてくる演出で見せた。
男性のモデルが着用するのはレースアップで素肌をのぞかせたポロシャツに、シルバーのパーツを差したトラウザー。メッシュのキャップにビジューのチェーンを垂らす。一筋の光を添えるアクセントに、フェミニンな繊細さを感じる。カーディガンの胸元には花火をビーズ刺繍で描く。セットアップのパジャマには星くずのようなビジュー。刺繍作家としての強みを生かしつつ、着る人のパーソナリティーに寄り添うように、テキスタイルに同化させる装飾が目を引いた。手織りのような素朴な生地で緩やかにドレープを寄せたドレスは、パールビーズの細かなドットが施されて気品が漂う。これまでもブラのようなボディーアクセサリーを作ってきたが、服とビジューが対を成す表現の幅が広がった。


「カミヤ」(神谷康司)は都内のスタジオでのランウェーショー。テーマは「ACT-COOL」。カジュアルベースのワードローブを艶のあるムードで見せた。
ファーで首元を飾り立てたMA-1に落ち感のあるトラウザー。足元はアスレチックスタイルのレザーブーツ。シンプルにそぎ落としたスタイルだが、ラフに見せるのではなく、大人のたたずまいを感じさせる質感でメリハリを付ける。スウェットのように見せたフーディー型セーターは、首元や裾にダメージ加工のワンポイント装飾が入る。その上に緩やかに落ちるウールコートを羽織る。上質さが備わった装いへとグレードアップした。

ビンテージ風の加工を強みとするなかで、フェード感のある配色にコントラストを利かせ、神谷らしい抜け感を出す。オリジナルのバンダナ柄を用いたピンクのワークブルゾンやイエローのベストは、程よく色あせてリラックスムード。ピンクのフーディーは内側の鮮やかな色味がアクセントになって、何げないウォッシュドデニムのセットアップを都会的に感じさせる。ボリューミーなファーのキャスケットを合わせて、パンチを効かせた。


(須田渉美、写真=レシスとタナカダイスケは加茂ヒロユキ)
