日華化学 抗ウイルス加工処方を開発 幅広い素材で高い洗濯耐久性

2021/10/22 06:25 更新


 繊維加工剤メーカーの日華化学(福井市)は、抗ウイルス加工で、ポリエステルや綿などあらゆる素材に対応し、高い洗濯耐久性や低皮膚刺激性を併せ持つ新しい加工処方を開発した。特許出願中で、幅広い用途で加工処方のサポートを進めていく。

 新しい抗ウイルス加工処方は、あらゆる繊維素材に対し、ISO・JIS基準の耐洗濯性をクリアし、従来技術比約7倍の抗ウイルス性を持つ。また高い安全性も確保し、皮膚刺激性は従来の約5分の1に抑えられた。染色加工場の排水処理負荷も軽減できる。

 同社は抗ウイルス加工剤「ニッカノン」シリーズを製造販売し、新型コロナウイルスへの効果も確認している。コロナ禍で抗ウイルス加工素材のニーズが高まる一方、「素材によって性能が出にくい」「洗濯後の性能が出ない」「抗ウイルス性と皮膚刺激性の性能の両立が難しい」といった課題が寄せられ、新技術のニーズが高まっていた。

 昨年11月に導入した抗ウイルス試験設備を活用し、スピーディーな処方技術の開発につなげた。また、東洋染工(福井県坂井市)の協力を得て、量産設備を使った評価試験も実施、性能を確認した。

 抗ウイルス試験はISO18184/JISL1922に準じ、エンベロープタイプのA型インフルエンザウイルスを使った。①ポリエステル100%②ナイロン82%・ポリウレタン18%③ポリエステル65%・綿35%④綿100%⑤カチオン可染ポリエステル50%・ポリエステル50%の5素材で、いずれも2時間後のウイルス減少率99.9%以上を洗濯10回後も維持した。

 介護、清掃、飲食店向けユニフォームやスクール、スポーツ、アウターなどのアパレル製品、カーテン、インテリア用品などに抗ウイルス性を付与することが可能で、9月に営業開始してから多くの引き合いがある。



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