世界が新型コロナとの共存に舵を切る中、アシックスはランニング市場の成長を見込み、25年までにナンバー1パフォーマンスランニングブランドとなる目標を掲げる。緒戦となる「オレゴン2022世界陸上」では、最新モデルの「メタスピードプラスシリーズ」を着用した選手が登場。その活躍が期待される。竹村氏に開発ポイントを聞いた。
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長距離・レーシングシューズの開発を担う「Cプロジェクト」は、20年に立ち上がった、廣田康人社長直轄の部門横断型組織です。開発やスポーツマーケティング、デザイン、研究員、カスタム生産、知財など様々な部署から選ばれた約10人のメンバーで構成し、アスリートの要望や悩みを直接聞き、製品試作に反映しています。
メタスピードプラスの開発テーマは、走速度の向上。そのため我々は、ストライドを1センチでも伸ばすことを目指し、前作から主に3点を大きく変えました。
一つ目は、ソールの体積です。ミッドソールに採用している独自開発の軽量クッションフォーム材「FFブラストターボ」を、ストライド型走法ランナー用のモデル「スカイプラス」で4%、ピッチ型用の「エッジプラス」で16%増量しています。体積が増えたことでシューズは少し重くなりましたが、アスリートからは反発性の高まりをポジティブに捉えてもらっています。
二つ目は、スカイプラスでカーボンプレートを前作より高い位置に配置したこと。ストライド型ランナーはつま先が路面から離れる際、シューズ前足部を強く踏みつけて走ります。そのため、反発性に優れたフォーム材の恩恵をしっかりと享受するには、プレートを靴底から高い位置にしたほうが、より多くの量のフォーム材を圧縮し、反発力が得られると考えました。
三つ目は、アッパー(甲被)のラスト(靴型)の変更です。フィット性の向上とつま先のカーブ形状の見直しを図ったことで、スムーズな蹴り出しを促しています。
続々と新記録更新 米オレゴンで飛躍を
製品テストの結果、当社の既存レースシューズモデルと比較して、ランニングエコノミーが2%以上、増加しました。4月にスペイン・マラガで開催した世界陸連公認レースでは、新モデルを履いた73人の選手のうち、29の自己新記録と4のナショナルレコードが生まれています。
メタスピードプラスは、アシックスが創業以来貫いてきたアスリートファーストの精神を反映した、当社イノベーションの最新形です。現地時間7月14日から米オレゴンで開催される世界陸上競技選手権大会を皮切りに、選手の皆さんと頂上奪還を目指します。日本でも、多くのエリートランナーがこのシューズを履くことを期待しています。
株式会社アシックス
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