【エグゼクティブキャリアの新市場⑥】パンプス、ジュエリー 確実につかめるターゲットへ

2019/05/02 06:26 更新


かぶらずに、心地よく

 エグゼクティブ女性向けの靴の中心は、欧州ブランド。特にパンプスは日本の働く女性に欠かせず、ラグジュアリーブランドの売り上げを支えている。

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 相場は10万円前後だが、その下の価格帯が00年代半ばから定着した。代表例が、アマンが総代理店の伊「ペリーコ」。セレクトショップで認知度を高めた後、百貨店に販路を拡大した。履き心地が良く、形のきれいな4万円台のパンプスが彼女たちにも響いた。仕事で毎日履くため、気軽に買える価格も魅力。都市部の百貨店3店で直営売り場を運営するまでに成長した。

 「他人とかぶらず、ブランドの主張が無いもの」を求める女性も多い。今年12周年を迎えた靴専門店「テラス」(大阪市)は、ラグジュアリーブランドのOEM(相手先ブランドによる生産)を行う靴メーカーのオリジナルパンプス(3万~4万円台)を仕入れ、エグゼクティブ女性を捉えた。自店で買い付けができない百貨店からの依頼で催事販売も増え、常設売り場も運営している。

 靴の売り上げには「ストレスなく履き続けられる」実感が要る。「セルジオ・ロッシ」は昨年5月、日本限定でラバーソールパンプス「srYURI」を発売、トップ品番に育てた。人気のトウラインを生かしてクッション性も向上、1日動いても疲れにくい。夜の会食もこなせて7万円前後で、支持が厚い。

見えてくる潜在需要

 伊勢丹新宿本店では、「まだ特別増加しているという状況ではないが、100万~300万円台の宝飾品を購入するエグゼクティブキャリアは一定いる」(市毛奈緒新宿特選・宝飾時計営業部宝飾バイヤー)。

 役員や経営者の女性たちは、ビジネス優先で外商イベントなどに招待しても、必ずしも興味を持ってもらえるとは限らない。しかし、パーティーなど華やかな場に出席するケースでの需要を感じるとしている。

 「ある程度ボリュームのあるネックレスや、ダイヤモンドのブレスレットなど、華やかで格を感じさせるものが求められる」。日本橋三越本店でも、高額品を購入する士業や経営者の女性が少しずつ増えているという。

 エグゼクティブ予備軍として、40歳前後の働く女性をターゲットにした動きもある。この層には、オンでもオフでも使用でき、10万~20万円クラスのシンプルなネックレスやピアスなどが支持される傾向だ。エーアンドエスのジュエリー「ベルシオラ」では昨年3月から、管理職女性がターゲットの〝ハンサミューズ〟シリーズを企画。バゲットカットのダイヤモンドをあしらったチェーンネックレスなど、ジャケットスタイルに合う商品群が好調に推移している。

欧州製のパンプスは都心の百貨店の強化分野に(日本橋高島屋SCの婦人靴売り場)

(壁田知佳子、青木規子、関麻生衣、須田渉美、中村維/繊研新聞本紙19年3月13日付)



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