【マサ佐藤の駆け込み寺】納期遅れを回避するには①

2017/10/09 05:00 更新


ルールル、ルルル、ルールル、ルルル♪ 「マサ佐藤の駆け込み寺」の時間が参りました。前回の連載「佐藤せんせの算数で極めるMDへの道」が好評のうちに終了したばかりですが、早速シーズン2が始まります。今回は悩み多きMD(マーチャンダイザー)、エリアマネジャー(スーパーバイザー)、新規事業の責任者をゲストに迎え、それぞれの「あるある」問題をじっくり解決していきたいと思います。前回までの連載はこちら

では、早速ですが、ゲストをお迎えしましょう、前回の生徒さんであるDさんの登場で~す。


☆   ☆   ☆


納期遅れを出さないためには?①

「佐藤せんせの算数で極めるMDへの道」に続く、新連載「マサ佐藤の駆け込み寺」がこの度めでたくスタートしました。


せんせ。おめでとうございます。でも、また前回に引き続き私の登場なんですね?


はい。流れ的にも都合が良かったので(笑)。ただ、今回の連載では、MDのことについてだけでなく、他のことにも相談に乗りますよ!!


都合が良いって(苦笑)。ただ、私は引き続きMDの相談ですよ。


はい。承知しました。では今回のDさんの悩み相談ってどんなことですか??


へえ~。こんなことせんせに相談するのも、どうかな??って感じなんですけど...私の携わる事業部の商品の納期遅れが物凄く多いんです_| ̄|○


そうですか?? それはいけませんね。そういえば、Dさんの事業部はセレクトショップでしたね??


そうです。買い付けのもの多いですし、自社企画商品も多く展開しています。


思い返せば、Dさんは前回の連載開始時は小物のバイヤーだとおしゃってましたもんね??


そうです。ところが、せんせ!! 聞いてください!!


どうかしましたか??


私。この度事業部のMDに抜擢されて、商品全体の責任者になったのです( ・´ー・`)


すごいじゃないですか!! ならば、今度私に奢ってくださいよ(笑)。


へへへ…(なんでこいつに奢らないかんのじゃ!アホか)。で!いざMDになってみると、想像以上に納期遅れが多くて、ものすごく困っているんです。バイヤーはメーカーの悪口ばかり言っているし、生産や企画は工場ガ~とか生地ガ~とか、素人の私が理解できないことばかり言っています。


それは深刻ですね~。


これをどうにかするいい方法はないのか、というのが今回の相談です。


中々難しい問題ですね。商品には、MDだけではなく、デザイナー、パタンナー、生産管理、工場、生地メーカーその他諸々、様々な人が関わってますからね~。私はマジシャンではないので、それを解決出来るかどうかはわかりませんが、一緒に考えてみましょう。ところでDさん。そもそも「納期遅れ」って何がいけないんですか??


ナニガイケナイ???…(考え中)…とにかく納期遅れは、いろんな所に迷惑がかかるのでダメです。


(笑)。言おうとしていることは解るんですが、いきなりこんな質問をされても困ってしまいますよね。


へえ~。そうですねんm(__)m


では。私から簡単に説明します。例えば、ある商品を3月1日から5月31日の3か月売ることにする。その商品をMDは300枚発注した。すると、Dさん。MDは1か月辺り何枚売れると考えて発注したのでしょうか??


単純に考えれば100枚ですか??


はい。その通りです。ところがその商品は納期が遅れ3月1日入荷する筈が4月1日に入荷した。そうなるとDさんどうなりますか??


4月入荷だと、販売期間が3か月から2か月に短縮される。よって300枚売れる筈が200枚しか売れない。しかも100枚余ります。


その通りです。この商品が仮に売価1万円だとしたら、100万円の売上を損した挙句に、在庫が余る。在庫が余ればセールして安く売らざるえない。こんな最悪の状況になるんです。だからこそ絶対に「納期遅れ」は防がなければならないのです。


なるほど。そう言われるとホントに身に沁みます。私の事業部のことを考えると多くの売上を損していて、在庫を残している可能性がある。そしてセールをし在庫を減らすことで、本来とれたであろう「粗利益」が取れていない。良いこと何もないですね~。


その通りです。「納期遅れ」という結果は、MDの目的である「売上」「粗利益」をより多く獲得することは出来ないということです。


では、せんせ。どのようなことを考え、実践すれば納期遅れが防げるようになるのですか??


ではDさん。何故納期遅れが発生するのか?要因をここで上げてみましょう。実際、DさんがMDに就任して、感じた納期遅れの要因をザックリと上げてみてください。


へい。では箇条書き風に言います。


・生産管理の人が工場のキャパシティーが空いていないと良く言っている
・海外買い付け商品は、納期が流動的で納期の誤差が大きい
・生地がなくなっていて、生地替えをした分、納期が遅れている
・メーカー側の営業が適当で都合のいいことばかり言う
・そもそもの商品数が多く、デザイナー・パターナーが仕事が回らないと言っている
・毎週発注に追われている感があり、中々決断できない。回りの意見を聞いている暇がない
・サンプルが揃っていないので発注できない。


 あくまで私が感じただけですけど、ザクっというとこんな感じでしょうか??


素晴らしい!! よく問題の把握できてるじゃないですが! 要はその問題を改善していけば良いということです。


そうなんですけど…どう解決していけば解らなくて、とくにものづくりは素人ですし…。


ですね~。問題点はわかってもいても中々解決するのは難しいかもしれません。ただ、MDが設定した納期を守りたいというのは、MD以外の職種の人も理解している筈ですよね??


へえ。そうです。事業部のメンバーは一生懸命仕事をしてくれています。


ですよね。ところで、Dさん、具体的にデザイナー、パタンナーや生産管理の方々がどのようなスケジュールで仕事をしていくかを把握していますか??


各職種で仕事のスケジュールは出してもらっているのですが、なんか私の頭でうまく繋がっていなくて…。


そこなんです。重要なのは。皆「納期を守る」という目的は一緒なのですから、事業部のメンバーと目的・目標を共有できるようにしなければなりません。とくに品揃え計画・発注数量を決定するMDの仕事は、オーケストラでいう指揮者の仕事ですから、MDが中心となって、店頭に商品が入荷するまでのスケジュールを作成しなければならないということです。


なるほど。「納期遅れ」を解決するには、私が中心となってMDスケジュールを作成しなければならないということですね。


その通りです。では、次回はMDスケジュールについて考えていきましょう。


へえ。楽しみです。


では皆さん次回をお楽しみに!


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さとう・まさふみ 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立ち上げをMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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