MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》⑨(佐藤正臣)

2023/02/22 06:00 更新


(第1項)ショップを運営する上で知っておく利益とは?

3.売価・原価・値入・粗利益を理解する③

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今回はショップ運営において極めて大事な部分。“ロス”についての話をいたします。一度、MD講義を受けているDさんは“ロス”についての理解が深い筈ですから、Tさんに質問です。Tさんが勤務されているショップのロス率は何%がご存知ですか?



はい!だいたい0.3%くらいだと記憶しています。



お~それは優秀ですね。しかも、自分のショップのロス率をすぐに言えるのはすごい!



実は、せんせのMD講義を受けまして、私の会社は各ショップのロス率を公開することにしました。各販売スタッフはそれぞれのショップのロス率を知っていますし、ショップの店長にとって、1つのKPI(重要業績評価指標)となっています!



まずは、“ロス”という言葉の意味なのですが、直訳すると「失う」「無くす」等という意味になります。アパレル・ファッション小売業でいう“ロス”は、何かしらの要因で商品が無くなった、または売り物としては通用しなくなってしまったことを指します。



ということは、ショップで盗難被害にあった場合などは、その盗まれた商品はロスになるということですか?



Tさんの仰る通りです。そのほかにも、商品が不良品だった場合もロスになります。これを業界ではB品ロスと言いますね。B品が店頭に商品が入荷する前に判明すれば良いのですが、お店要因で商品がB品ロスになると、ショップのロス率が増加します。

例えば、私は昔店内で事務作業を行っていたのですが、誤って商品にボールペンの線をつけていまいました。その汚れは落ちなかったので、そのケースだとショップ要因のB品ロスになりますね~。

先程Tさんは自身のショップのロス率を即答されていましたが、ロス率はいつ判明するかご存知ですか?



わかりません(即答)



承知いたしました。ロス率(高)はいつ判明するのかをお伝えしますと、



実地棚卸のときですね!



はい、Dさんの仰る通り、実地棚卸時にロス率(高)が判明します。

以下例をあげますと、

“バイヤーBさんが1点1,000円の売価、仕入原価400円で仕入れたバッグが1カ月で1000個、100万円売れた。しかし1カ月後、棚卸を実施したらバッグが100点なくなっていることが判明した。その月の期首在庫は1500点。1カ月の営業中に入荷してきたバッグが500点でした。”

このようなショップがあったとします。ではTさん、1カ月営業終了後のバッグは何点なければならないでしょうか?



はい、1000点です。



正解です!

(期首在庫1000点+1か月間で入荷したバッグ500点)-1か月で売れた点数1000点=1000点(営業終了後になければならないバッグの点数)となります。この1000点のことを理論在庫と呼びます。

しかし棚卸を実施してみたら900点しかなかった、1000点(理論在庫点数)-900点(棚卸在庫点数)=100点(ロス在庫点数)が、何らかの要因でショップから消失したということになります。この100点がロスしたバッグの点数となります。



なるほどです。せんせの説明が丁寧でわかりやすいです!



ということは、バッグの原価が1点400円になりますから、100点(ロスしたバッグの点数)×400円(バッグ1点の原価)=4万円(ロス原価高)となり、今回のケースのロス原価高は4万円となります。こちらを表した図は以下の通りです。


 


図にするとさらに理解が深まります!ところで、“ロス率”はどのように計算するのですか?



せんせ!ここで字数制限が来ました!続きは次回となります!



わ、わかりました。次回は、ロス率の計算の方法とショップでロスが大きくなる要因についてお伝えします。



では、皆さん。次回もお楽しみに(@^^)/~~~

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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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