MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》⑪(佐藤正臣)

2023/03/22 06:00 更新


(第1項)ショップを運営する上で知っておく利益とは?

3.売価・原価・値入・粗利益を理解する⑤

≫≫佐藤正臣の過去のレポートはこちらから


前回の講義では、「ロス」を削減することの重要性を学びました。今回の講義は、少ししつこいかもしれませんが、もう少し「粗利益」について考えてみたいと思います。



それだけショップ運営において、「粗利益」が重要だということですね。頑張ります!



まず、これまで学んできた“粗利率”の復習を以下箇条書きでお伝えします。

【粗利率】

  • 粗利率が高いと低い売上でも(損益計算書が)黒字になりやすい
  • セールをして商品を売ると粗利率が下がる
  • 言い換えれば、セールをしなければ粗利率は高い

このようなことを学んできました。



セールをしなければ粗利率が高い!ということは良いことだと思うのですが、セールをしないと在庫が増えるリスクも高まるとも言えますよね?



はい、その通りです。Tさんすごいですね。どこでそんなことを覚えたのですか?



過去の連載で、せんせとDさんのやりとりをチェックしましたので!



ありがとうございますm(__)m



ということで、次は“粗利高”に関することを、箇条書きでお伝えします。

【粗利高】

  • (組織として)目指すべき指標。目標設定すべき指標
  • 粗利率が目標に達していても、粗利高が目標に達していなければ全く意味がない

こんな感じになるでしょうか。

粗利率の高い・低いがショップに与える影響を考えてみたいと思うのですが、ショップの粗利率が高く出るケースは何か、Tさんわかりますか?



ショップの粗利率が高く出るケースは、セールをしないで売れた場合でしょうか?



はい、その通りです。ですがDさんとTさんのショップの場合は、他にもあると思うのですが、いかがでしょうか?



何も思い浮かばないです…。



せんせ、私が答えます!

値入率が高い((仕入)原価率が低い)商品が売れたときです!

弊社の場合は、セレクトショップ業態なので、自社商品は他社から買い付けする商品よりも、値入率が高いケースが殆どです。ですので、自社商品が多く売れた場合には、粗利率が高まりやすいです!



さすがDさんです!

次は、ショップの粗利率が低く出るケースを、商品をセール価格にして売ること以外に考えてみましょう。



他社からの買い付け商品が多く売れた場合でしょうか?



その通りです。さすがTさん。吞み込みが早いです。それ以外はどうでしょうか?



あとは、商品がセールして売れたことと同様だとは思いますが、クーポン券の使用やポイント使用で、レジにて値引きをした場合でしょうか?



Tさん、素晴らしいです。その通りです。他にもレジにての値引きのケースだと、社員がレジで商品を購入した場合や、(販売員の)家族や友人が商品を購入した場合も当てはまりますね。

ということで、これまで粗利率が高い場合と低い場合をみてきましたが、ショップにおいて、粗利率が高い・低いということは、何を表していると言えますか?



これまで学んできたことを、頭の中で整理整頓をしますと…

セールやポイント還元など、今ショップでどんな施策・イベントが行われているのかということになりますか?



その通りです。他にも何かありませんか?



すぐには思いつきません。



弊社のようなセレクトショップの場合ですが、各ショップのVMDを想像することが出来ます。例えば、粗利率が低いショップは他社仕入商品を多く売っている可能性があり、本部の指示と違うことをしている場合などがあります。



さすがDさんです。そのような見方は、特に組織のSV(スーパーバイザー)に持っていてほしい視点ですね。ですが違う見方をすると、自社商品を多く売って粗利率が高くても売上が低い上に粗利高が低い。他方で、他社仕入商品の多く売り粗利率が低いが、売上が良いうえに粗利高も良ければ、そもそも本部の指示がおかしいのでは?という見方をすることが出来ますね。



あっ、確かにそういう見方も出来ますね。本部の指示をショップに守らせることが、会社組織の目的ではないですから、そういう視点も重要ということを肝に銘じて置きます。



ということで、ここで字数制限が来ました。次回は、粗利高をもっと深堀して考えていきます。



では、皆さん。次回もお楽しみに(@^^)/~~~

≫≫佐藤正臣の過去のレポートはこちらから

佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



この記事に関連する記事