注目を集める進化型の古着屋「森」 アップサイクルで古着広げる

2019/09/16 06:30 更新


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《販売最前線》ヒューマンフォーラムの進化型古着屋「森」 アップサイクルで古着広げる 店内でリメイクやワークショップ

 ヒューマンフォーラム(京都市)が19年3月、大阪・中崎町に開いた進化型古着屋「森」が注目を集めている。大きな特徴は、単に古着を提案するだけでなく、ミシンを置いた「リサークルスタジオ」を活用し、服のリペアや古着のアップサイクルも行っている点だ。「古着というトレンドと、古着を生かしたサステイナブル(持続可能)提案の両面」(出路雅明会長兼森プロジェクトリーダー)で、コンセプトの「ユーズドを拡張する」という挑戦をしている。さらなるイベントの充実とともに、古着のシェアリングサービスも提案していく。

(小畔能貴)

ワクワクする売り場を

 森でまず驚かされるのが、売り場面積約1000平方メートルという大きな店に、ところ狭しと古着が品揃えされている点だ。店頭の8割を古着(リメイク含む)で占め、その価格帯も誰もが買いやすいものから、上は40万円ほどするビンテージまでと幅広い。子供服も扱っている。

 客層は当初20~60代の男女と幅広く設定したが、オープン後もほぼその通りになっている。20代前半の来店が最も目立ち、実購買層は20代半ば~30代後半が多い。男女別では女性が約6割を占める。客単価は6000~7000円で推移している。

 大阪で古着屋の多い中崎町というエリアで、最大級の店舗を構えたことで、「これまで古着を買ったことのない人が来店するケースも目立っている」(森明憲店長)。開店から4カ月が経ち、口コミで店を訪れる人も増え始めた。

 古着の見せ方も凝っている。例えば、マネキンを100体近く活用し、古着を生かした個性的なスタイリングを効果的にアピールしている。店頭の鮮度を保つ工夫も欠かさない。もともとテイストや年代で売り場を編集しているが、広さと商品点数の多さを生かし、さらに色や素材でくくるなどの新たなグルーピングを定期的に盛り込む。

100体近いマネキンを使い多彩なスタイリングをアピール

 古着には一点物も少なくなく、新品と違って各品番に奥行きを実現することが難しい。捉えようによっては、もともと新しさもある訳だが、「グルーピングで新しいくくりを仕掛けるかどうかで店頭の見え方はどんどん変わる」。一方で、「逆に細かくカテゴライズし過ぎずに、どこかに何か特別な物があるようなワクワク感や宝探しのような感覚を持たせることも大切だ」という。両側の視点を忘れずに、広い売り場とたくさんの古着をうまく生かす形で、様々な人が魅力を感じられる店作りを実現している。

新しい価値を伝える

 進化型古着屋として目玉となるのが、古着をはじめとした服を新しいものに生まれ変わらせるリサークルスタジオだ。ここで毎日、古着をリメイクしたり、リペアする作業がされており、来店客の視界にも入るようになっている。4台のミシンとそれを操るスタッフが複数いて、その中にはインターンシップという形で上田安子服飾専門学校の学生も加わっている。

古着を生まれ変わらせる「リサークルスタジオ」

 同スタジオで作られる「リサークルプロジェクト」は、例えば大寸のワンピースはセットアップに、ボックスシルエットのチュニックは両端をカットしてベルト付きのハイウエストワンピースへ、という風に古着をアップサイクルしている。現状は店で「こんな形にしよう」と決めたリメイクをして販売している状況だが、ゆくゆくはお客が持参したものを、お互いに話し合いながら新しいものに変えていくサービスも実現する考えだ。

 服のリペアについては、裾上げやウエスト直し、袖丈つめなどのメニューを揃えるが、今秋からはさらに草木染めや黒染めも加わり、服のアップサイクルが様々な形で実現可能になる。

古着をアップサイクルした「リサークルプロジェクト」の商品

 森ではリサークルプロジェクトのほかに、日本の伝統技術を用いて服をアップサイクルしたオリジナルブランド「メンド」も販売している。中心価格はリサークルプロジェクトが1万円、メンドが1万5000円。古着に新しい価値をのせて提案しているが、「設定した価格は受け入れられている。これからもっと商品の価値を伝えていく方法に磨きをかけ、実売を増やしていきたい」と井垣敦資メンドプロデューサー。今後は古着を借りられるシェアリングサービスを実施する予定だ。現在はインフルエンサーらを対象にテスト中で、10月からの実現を目指す。サステイナブルな取り組みに共感してくれる感度の高い客を中心に、会員制に近い形で同サービスを提供、店と客とのつながりをさらに強めていく。

森を立ち上げた中核メンバー(左から森店長、出路会長、井垣「メンド」プロデューサー)

◇ ◇ ◇

■サステイナブルなイベントも

 森は、定期的にイベントを仕掛けることで、新規客を取り込んだり、客の来店頻度を高めている。7月下旬には、天然染料を使用した染めのワークショップを実施し、店が重視するサステイナブルなメッセージも発信した。幅広い参加者が、持参した着古した服を染め直し、再度愛着を持ち楽しめるものへと変える体験をした。アップサイクルを提案する自社の「メンド」と、和歌山で独自に草木染めや藍染めの研究などをしているH.A.L.U(ハル)と共同企画でワークショップを開催。藍や茜(あかね)を使って、Tシャツやシャツ、のれんを染める作業に取り組んだ。参加者の中には子供連れも目立ち、小さな子供が染めを体験する場面もあった。今後もワークショップやSDGs(持続可能な開発目標)のセミナーなど、サステイナブルなイベントを充実していく考え。一方で、大阪以外の地域で頑張っている古着屋やクリエイターらによる期間限定店も仕掛け、古着の拡張を目指す。

ワークショップで幅広い人たちが藍染めなどを体験した

(繊研新聞本紙19年7月26日付)


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