三起商行の木村皓一社長は、今後の事業戦略として、富裕層をターゲットにしたブランド、商品群のさらなる強化と海外販売の拡大をポイントに挙げた。足元の業績は、「中国向けの伸びが大きい。国内はギフトは堅調だが、期待できない」と見る。この日開いた22年秋冬展では富裕層をターゲットにした「ミキハウス」の「ゴールドレーベル」を披露。カシミヤや海島綿など高級素材使いの商品、22万円のダウンコートなども投入した。
(藤浦修一)
22年2月期の売上高は「前年よりやや良い。170億円には届く見込み。コロナ禍が始まった時は、どうなることかと心配したが、今は順調」と意気高い。販売割合は、コロナ禍前までは国内70%、海外30%だったが、直近では海外が国内をやや上回り、次年度は海外が60%になると見る。ただ、コロナ禍前の国内にはインバウンド(訪日外国人)需要も含んでいたことから、外国人の需要が重要なポジションを占めていた。新ラインのゴールドレーベルは海外向けが80%ほどを占めるだろうと海外富裕層向けの販売が今後の成長のカギと見ている。
現在、中国では57店で販売。面積や入居するモール内の他のブランドなどを見極めた上で、店の図面を送り、基準を満たした相手に販売店を限定しているが、それでも半期で10店拡大する予定。「中国向けに販売しているアイテムは全体の20%ぐらいで80%は日本国内でしか販売していない。コロナ後には、日本のリアル店舗に戻ってくるはず。インバウンドは期待できる」とアフターコロナのインバウンド向けの販売拡大も見込む。
海外販売では、ウクライナのキエフとハリコフの販売先は店を閉じており、ロシアのモスクワの店は、カード決済がストップしているため「開店休業」状態だとしている。
国内では、産院と組んだ取り組みで成果が出始めている。現在20院ほどだが、各都道府県の上位2位ぐらいまでの医院100弱と組みたいとしており、「これができると7万人ほどの新生児がミキハウスの肌着を着ることになり、安全・安心を求める人たちに浸透していく」と強化を図るベビー市場への拡販につなげたいとしている。
百貨店販売では、「妊婦が安心して買い物できる環境整備」に引き続き取り組む。また昨年から一部店舗で導入を始めたタッチパネル操作で買い物ができる仕組みは、ギフト需要には適しているとする。婦人服などと違い、子供服は「遅い時間には売れない。ここにも交代で人を充てると大きなコストがかかる」とし、これをタッチパネル配置でカバーできればともしている。
原油高、原料高で生産、物流コスト高に関しては、「持続可能なビジネス維持へ、インフレ分は工場へも支払い、コストアップを織り込んだ価格設定とする」方針。