オールウェイズのオーダーブランド「ミカコ・ナカムラ」(中村三加子)の23年秋冬コレクションは、道元禅師の和歌「濁りなき 心の水にすむ月は 波もくだけて 光とぞなる」にインスピレーションを得た、月のイエローと水のグレーを主役にした。人の心の動きを月夜に見られる景色と重ねて詠んだもので、波紋が象徴的なモチーフとなっている。
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イエローは白が混ざったような優しいトーン。心の目で見た月の色として、「リリー」という色名で絶妙な色合いを表現した。人気のノーカラーコート「ルナ」のほか、新型のテーラードコート、ビショップスリーブのブラウスなど、たくさんのアイテムをきれいなイエローで彩っている。
波紋の模様は、定番の〝ミカドシルク〟に反物の状態で刺繍をし、ノースリーブドレスにした。ハリのある生地のため、ふっくらと構築的なシルエットを描き、波紋の丸い柄とマッチする。同じ生地でほかに、バルーンスリーブのブラウス、一枚仕立てのコートも作った。
波紋をより抽象的にした、楕円(だえん)がいくつも重なった柄のシリーズもある。ボリュームスリーブのドレスとノーカラーコートの2型で、これも丸みを帯びたシルエット。コートは裏地にオーガンディを仕込むことで、ふんわりとした膨らみを出した。プリント柄はインパクトがあるが、ボタンや装飾を極力無くしたシンプルなデザインが、着る人を美しく引き立てる。