いまや海外からも多くの登山客が訪れるようになった富士山だが、古くから信仰の対象で、巡礼の場でもある。江戸時代には庶民の間で富士山信仰が爆発的に広がり、資金を出し合って代表者を富士山へ送り出す「講」と呼ばれる組織ができた。
その富士講の信者たちが歩いたのが、東京・日本橋から富士吉田を経て山頂へつながる「富士みち」。特に0合目から森林限界を迎える5合目までのその古道は、富士山の豊かな自然と信仰の歴史に触れるルートとして知られている。しかし、64年に有料道路の「富士スバルライン」が開通すると、入山者の多くが五合目から登るようになり、ふもとからの富士みちが廃れてしまった。
富士みちが通る山梨県富士吉田市では、25年からその古道の再興に取り組み、アウトドアブランド「サロモン」(アメアスポーツジャパン)もその計画を支援している。老朽化した茶屋の改装や朽ちた社(やしろ)の撤去作業、救護所スタッフへのウェア提供など活動の幅は広く、どれも費用と手間のかかるものだ。
サロモンにとっては直接的にビジネスにつながるものでもない。それでもサポートするのは「日本人にとって富士山は特別な存在」と考えるショーン・ヒリアー社長の強い思いがあるためだ。ヒリアー氏は日本在住歴が足掛け25年にもなる親日家でもある。彼の決断に敬意を表したい。
