25年前の今日のことは、まだ鮮明に覚えている。アメリカ全土が混乱に陥り、多数の犠牲者を出した。ちょうど、ニューヨーク・ファッションウィークの最中であったため、多くのジャーナリストたちも混乱の中にいた。もちろん、ファッションウィークは中止。しかし、次のロンドンへと移動する手段はなく、多くのジャーナリストやバイヤーが足止めされた。
その後のファッションウィーク期間中、街にはたくさんの「PEACE」の旗が掲げられた。ショー会場でデザイナーたちは犠牲者へ哀悼を捧げ、平和を訴えるショーも見られた。あれから25年経った今も、世界では戦争や紛争が絶え間なく続いている。そんな状態にもう慣れてしまったのか、近頃はそうした旗を見ることもなく、ファッションの現場で戦争を考えることは少なくなった。
「もし、戦争が終わったら」。27年春夏メンズコレクションの発表に際して、「コムデギャルソン」の川久保玲はそんな思いを込めた。軍服を解体した25年秋冬メンズをはじめとして、川久保はこれまで何度も戦争への抗議を込めたコレクションを見せてきた。しかし、そんな風に戦争や社会問題からクリエイションへと展開していくデザイナーはまれだ。
ファッションは時代を映す鏡としばしばいわれる。デザイナーたちは今、この時代をどう捉えているのだろうか。
