「新しいブランドを発掘して一緒に成長するのがセレクトショップのだいご味であり、本来の役割」という個店オーナーの話を聞いてはっとさせられた。当たり前のことかもしれないが、実践できている店舗はどれだけあるだろうか。コロナ禍以降、店頭の厳しさが続く中、ブランドの知名度や人気を優先し過ぎた仕入れになりがちだ。
都内では、有力セレクトショップと同じような品揃えでは市場で埋没してしまい勝ち目がない。まだ無名の若手ブランドなど埋もれている〝原石〟を発掘し、顧客に紹介し続けることで売り場の鮮度が高まり、新規客の獲得にもつながるはずだ。
東京の北千住と千駄木にあるメンズ主力のセレクトショップ「アマノジャク」は、海外のハイブランドを軸に品揃えしつつ、18年8月の立ち上げ当初から、若手デザイナーや実力はあるがまだ無名なブランドの発掘を続けている。
今はオンライン上に選択肢が無限にあり、何でも手に入る。だからこそ、アマノジャクのようなコアなブランドを扱う店でインディペンデントな推しブランドを見つけるのも楽しいはず。店側にとっても若手ブランドにチャンスを与えているだけでなく、しっかり売り上げを伸ばしている。こうした店がもっと増えれば新人が活躍するチャンスが広がり、業界全体も活気を取り戻せるだろう。