《私のビジネス日記帳》創業138年、老舗の暖簾 島田商事代表取締役社長 島田晋宏

2025/12/03 06:25 更新NEW!


 明治20年(1887年)創業の当社には、昔からの社訓や、そのほか語り継がれている企業姿勢のような言葉がいくつかあります。その表現は少し古めかしいのですが、内容的には現代にも通じるものがあり、今それらをベースに企業理念などを体系的に再構築しているところです。

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 その言葉のなかに私が好きなものがいくつかあるので、紹介させていただきたいと思います。

 まずは、創業者である曽祖父の連れ合い、曽祖母が残した言葉。「仕入れ先さんを泣かせるような商売をしたらあきまへんで」。仕入れ先様があって、初めて問屋業が成り立つ。当たり前のことながら、ついつい買ってやっているという態度が出がち。今でいうWin-Win(ウィン・ウィン)の精神が大切だという言葉です。

 次は戦後、ゼロになった会社を再興した親父(おやじ)の言葉。「もうけさせてもらえたら、まずはどれだけ社員に配れるか考えろ。次に少々のことがあっても会社が潰れないように内部留保をしっかりすることや。最後に余れば我々経営陣がいただく。会社っていうのは社員が一生懸命働いてくれとるから成り立っとる。当たり前のことや」

 創業138年、老舗の暖簾(のれん)というのは、決して形ある暖簾そのものだけではなく、その企業の礎になる言葉や考え方、そして企業文化を指すものでもあると思うのです。

(島田商事代表取締役社長 島田晋宏)

 「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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