「MD見直しの根本にあるのは正価販売を強化すること」。ある百貨店の婦人服担当者が強調していた。夏のセールは、7月中旬以降に後ろへずらすのが取引先全体にも定着してきたと見る。冬のセールも、日程自体は変わっていないものの、コートを中心に正価販売意識はずいぶんと高まった。
結果、セール月の1月、7月の月間売上高は、正価販売が伸びて前年実績を上回るようになった。セール依存の経営からの脱却が、MD見直しの成果というわけだ。
セールの早期化・長期化は長年の課題だった。先の担当者は、その背景にセールを含めた年間収益計画があったとみる。振り返ると、コロナ禍前も月間MDの強化や52週MDの推進などの見直しがあった。ただ、セールは必須のように組み込まれ、正価販売が厳しければ値下げして稼ぐ構造になっていた。「失われた30年」と言われるデフレ経済が続いたことも大きいが、正価販売強化はなかなか進まなかったのが実情だ。
この状況を変えるきっかけとなったのは〝長く暑い夏〟。今年も暑さが予想されており、さすがに夏物処分の時期を変えざるを得なくなった。初夏、盛夏、晩夏企画といったシーズンMDを組むようになり、MD上のセール依存が薄れてきた。
「インフレの時代」とも言われる。正価販売強化の維持とそれを実現する商品企画力の向上に期待したい。
