マネキンには知られざる役割があります。人体にまつわる様々な研究や実証実験、データ収集・解析、商品開発など、データを反映し立体化した疑似人体「人体ダミー」として活用されています。
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ファッションに特化した〝文科系〟マネキンとは次元が異なる〝理科系〟の精密機器ともなる人体ダミーは、製法のハードルの高さも別格ですが、人体構造を踏まえて思い通りに造形する立体的なデッサン力と美的な感性という2軸、マネキンを生み出すノウハウが十分に生かされています。理想と現実を橋渡しするスタンスは七彩のビジネスの骨子であるアートとサイエンスの融合につながっていると思います。
マネキンは人間以上に人間です。それはなぜか。表向きの美しさとは裏腹に人間の心理、願望を忠実に投影するからです。八頭身のボディーバランスや整った目鼻立ち、色白といった定型的な美しさは、約100年前の西洋化とともに現実離れしながらも定番となり現代に至ります。マネキンはそれを忠実に再現し、「美しさ」とは何かを常に問いかけています。
数千年を要しても人間の体にはできない形や表現を、マネキンはファッションのために自由自在にこなしてきました。これから先も人間がファッションを捨てない限り、人の写し鏡として在り続けるでしょう。私たちの任務の一つは、マネキンという存在を通してその時代のファッションを表現すること。これを機に少しマネキンの見方が変わったなら、マネキンが無言ながら一つ仕事を成し遂げた証しかもしれませんね。
(七彩代表取締役社長執行役員 瀬川剛)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
