《めてみみ》大事な保険

2025/12/03 06:24 更新NEW!


 ワコールホールディングスの売上高に占める海外事業の構成比は約40%。近年、国内が伸び悩む中で、欧・米・中を主とする海外がカバーしてきた。特に近年堅調なのが欧州。今期もブラビッシモの買収効果で、ワコールヨーロッパの売上収益は23%増を予想するなど、エリア別では最大の事業に育っている。

【関連記事】《もう少し知りたい》ワコールHDが下方修正 女性インナーの逆風下、模索続く

 今年は、その欧州で想定外のアクシデントが二つ発生した。一つはマークス&スペンサーがサイバー攻撃を受けたことによるECサイト停止の影響、もう一つはブラビッシモの倉庫火災である。後者の火災では、通期で22億円の売り上げ機会損失が生じると算定している。

 不幸中の幸いだったのは、通常の火災保険と異なり、逸失利益を含めた保険に加入していたこと。在庫や建屋などの現物損失に加え、機会損失による逸失利益が補填(ほてん)される。算定に時間を要するため、補填は来期以降になる可能性があるが、万一の備えが功を奏した形だ。全ての国・エリアに掛けているわけではなく、費用対効果を考えながらケース・バイ・ケースで対応しているという。

 異常気象による災害の多発、複雑に絡み合う政治や経済などの要因に加え、時に為政者の一言がビジネスに大きな影響をもたらす。実際の保険だけでなく、様々なリスクを想定しながら、多角的な〝保険〟を掛けておかねばいけない時代になってきた。



この記事に関連する記事