《めてみみ》当てが外れたインポート卸

2025/08/26 06:24 更新NEW!


 あるインポート卸が、アメリカントラッドブランドの取り扱いを始めることになり、展示会を開いた。100年近い歴史があり、現在もメイド・イン・USAでブレザーやスラックスを生産しているブランド。過去に別の業者が販売していた時期もあり、知名度はある。

 ここ数シーズンのプレッピーやアイビーのトレンドで、トラッドスタイルが軸の大手ショップから一定の需要があるだろうと思い導入した。だが、目星を付けていた大手は円安で上がった価格に難色を示し、取引が難しかった。

 むしろ普段は取引のない、トラッドな服が品揃えのメインではない店からの引き合いのほうが多かった。そうした店はどこもジャケットがゆったり着られて、パンツはハイウエストになるよう、大きめのサイズを発注した。

 いずれの店も20~30代の顧客を持つ。展示会に来たバイヤーも若く、自分たちが初めて見たアメトラが客目線で見ても新鮮と判断した。「若い顧客には今時のバランス感が必須」とのことで、ジャストフィットが基本のトラッドの店とは違うサイズ感で選んだという。

 「顧客が何を求めているか知っている店は実績や価格に関係なく、良いと思う服をためらいなく買う」。そう思い知らされたインポート卸。次シーズンの展示会用には大きいサイズのサンプルを多めに準備するそうだ。



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