今秋の接客ロールプレイング大会で、2万円を超えるアウターを提案し、〝成約〟させた出場者がいた。ほぼ毎年、ロープレ大会を見ているが、提案商品はニットやパンツなど中軽衣料が多く、価格も1万円を超えるのは皆無。その記憶から、2万円超の価格が印象的だった。
「衣料品店はやや控えめな接客、コスメ店は積極的」。18年にも、ロープレについて当欄で書いた。当時、好調だったコスメと低調な衣料品の差が、提案する商品価格とともに接客姿勢にも表れている気がしたからだ。今秋のロープレでも、その傾向は残っていたが、この間の正価販売重視の経営の成果だろうか。衣料品店でも価格よりも価値をしっかり伝える販売員が増えてきたように感じた。
衣料品の値上げもようやく定着して見える。もっとも、食料品など生活必需品の物価高の影響は無視できない。「お得に買えるからこそ、良い物を慎重に選んでいる」。あるアウトレットモールの運営責任者が話していた。気温で売れ行きも変わり、アウトレットでも先物買いより実需買いが主流の様子。
ここ数日の冷え込みで、防寒商品の実需も高まる。価格で選ぶ人もいるだろう。それでも「慎重に選ぶ」のだから、せっかく通用し始めた正価販売を少なくとも年内は維持したい。気象庁の25年12月~26年2月の長期予報は「ほぼ平年並み」だそうだ。
