繊研新聞社の「24年度専門店ランキング調査」は比較可能な83社計の売上高が4兆8604億5900万円で前年比4.8%増。21年度から4年連続で前年を上回り、19年比でも9.6%増だ。
20年に落ち込んだ売上規模がようやくコロナ禍前水準を超えるまで回復した背景にはユニクロやしまむらなど大手の好業績がある。2社を含む上位10社計の売上高は前年比7%増、19年比10%増と全体の伸びを上回り、83社計売上高に占めるシェアも7割に達する。
大手による寡占化が進んだ一方で、回復度合いにはばらつきが見られる。個別に見ると19年比増収だったのは83社中38社で、過半の45社の売上高は依然としてコロナ前の水準に届いていない。
詳しく見ると、年商1000億円超の専門店14社で19年比減収は3社だけ。ところが年商100~900億円規模の22社中では13社、100億円以下の37社中では29社と、売上規模が小さくなるほど19年比減収の専門店が増える。
上位の大手専門店は全国チェーンだ。商圏人口の豊富な都市部にも多くの店を持つ。100億円以下の専門店は地域に根差したリージョナルチェーンや小規模な店がほとんどだ。地元の顧客向けの販売だけだと成長にも限界がある。品揃えや接客力ではなく、どこで誰を相手に商売できるかの違いが回復度合いの差を生んだのだと思う。