H&MがオフプライスのECモール事業「アファウンド」を今秋で終了すると発表した。自社だけでなく他社のブランドも含めた余剰在庫をオフプライスで販売する業態として18年にスタートした。
当時、売れ残った服の廃棄が世界的に問題視されるようになっていた。行き場を失った在庫をセールで販売するオープンプラットフォームを作り、業界共通の課題解決を目指すには絶好のタイミングだった。
実際、事業を立ち上げて早々に、17年12月に閉店したパリの「コレット」で扱っていた商品の最終セールを実施して話題を振りまくと、欧州各市場に進出。母国のスウェーデンやオランダにも実店舗を構えるなど最初は勢いがあった。
だがその後、まず実店舗が姿を消し、今年8月にはECからも撤退することを決めた。「顧客の信頼を維持するためには自社商品の値引き販売は自社の責任で行ったほうが良いと考えるブランドが増え、サービスを必要とする企業が想定より増えなかった」とH&Mは説明する。
アファウンドに委ねれば、自社の一存で値引き幅は決められず、どこの誰が買ったかなど詳細な販売データも同業の手に渡ることになる。アイデア自体は悪くなかったが、世界第2位のファッション小売りが競合他社の在庫販売を請け負うというビジネスモデルに無理があったのかもしれない。