クセの強い〝ヘタウマ〟なイラストをプリントしたTシャツを私自身好んで着ている。そのイラストをきっかけに取材先と会話が弾むことがよくある。本紙でも5年前に「ファッションパワースポット・物作り編(千葉・柏の新しい顔)」という手描きイラストメインの記事に挑戦した。きれいな写真とはまた異なる印象を読者に与えることができたと思う。
オンワード樫山の「J.プレス」は韓国のイラストレーター、アーロン・チャンと協業した新コレクションの販売を始めた。ポップでかわいいキャラクターのイラストを使ったアイテムは、女性や若い世代など新しい客層へもリーチできるという。
自身で創作する漫画や小説などの作品の世界をアクセサリーや雑貨などに落とし込む若手クリエイターも出てきた。例えば作家の「星野夜」(ブランド名でもある)。星野さんが紡ぐダークファンタジーな物語と自身が作るアクセサリーなど商品を連動させ、ブランディング上の差別化にもつなげている。
昨今では幅広いファンを獲得するための重要な要素として、人気アニメや漫画との協業が欠かせなくなってきた。SNS映えする写真や動画もいいが、個性豊かなイラストでの表現は、また違った角度からブランドの魅力を伝える有効な手段。ファッションの可能性を広げる一助にもなるかもしれない。