《私のビジネス日記帳》日本一のデニム産地 篠原テキスタイル社長 篠原由起

2026/01/14 06:25 更新NEW!


 広島県の福山市は、国内デニム生産量日本一を誇る産地です。世界にもデニム産地は存在しますが、生地製造から製品加工までを、中小企業の分業体制で、かつ高付加価値領域として成立させている例は極めて少ないです。日本のデニムが長年にわたり世界で評価されてきた背景には、こうした産地構造があると考えられます。

 福山では、紡績、染色、織り、整理加工といった生地製造工程に加え、縫製や洗い加工までが近い距離に集積しています。この分業体制の本質は、単なる工程分担ではなく、各工程がそれぞれの技術を徹底的に追求してきた点にあります。紡績、染色、織り、仕上げのみんなが独立した専門領域として深化し、その結果として産地全体の表現力が広がってきました。

 工程間の距離が近いため、試作や修正を短いサイクルで重ねることができます。細かな条件調整や難易度の高い素材開発に対応できるのは、各工程が高度な専門性を持ち、それを前提に対話が成立しているからです。一方で、この構造は技術の継承に強く依存しており、担い手不足や設備更新は共通の課題でもあります。

 産地全体を守ることと、各社が技術を進化させること。その両立ができるかどうかが、これからの福山デニム産地の価値を左右していきます。各工程が専門性を磨き続けながら連携し、新しい表現や用途を生み出していけるかが問われていると感じています。

(篠原テキスタイル社長 篠原由起)

 「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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