《めてみみ》立場が人を変える

2024/08/22 06:24 更新


 突如、店長が不在となった飲食店の話。他店から代理の補充もできず、オーナーは「現場が伸びる良いきっかけになるかも」と思い、副店長以下のスタッフに全て任せた。すると、自分たちだけでなんとかせねばと現場は一丸に。その結果、伸び悩んでいた売り上げが逆に急上昇したという。どの業界にも通じる話だ。

 会社の方針に沿ってまじめに運営すれば、統制はとれるし問題は起こりづらい。しかし、やりすぎるとスタッフは言われた通りにしか動かなくなり、面白いアイデアや意外な発見が生まれなくなる。スタッフたちも気付きの少ない職場に面白味を感じなくなるだろう。きちんとしているのに活気が無い職場にはこういう背景がありそうだ。

 私自身がチームを運営する立場になり、育成について考える機会が増えた。キーワードはエンパワーメント。権限を与えることを意味する。丁寧に言えば、任せる範囲を明確に伝え、目的を達成するための権限を正しく委譲すること。権限を与えながら上からダメ出しばかりでは意味がない。見守ることが大切だ。もちろん無責任に丸投げするのもよくない。

 現場自らが考えて決断すれば一気に物事が進んだり、成しえなかったことができたりもする。立場が人を変えるとはまさにこのこと。スタッフを信じて任せることは経営者や管理職に必要不可欠な任務だ。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事