《めてみみ》現場を知る姿勢

2024/06/27 06:24 更新


 イオンモールの社長に5月末に就任した大野惠司氏は、国内の施設を積極的に巡回している。その際、事前に施設責任者のGM(ゼネラルマネジャー)に活躍しているテナントを二つ挙げるよう指示し、そのテナントに感謝のメッセージを手書きしたカードを直接渡している。渡す際はテナントスタッフと記念撮影する。3月から巡回し、写真は約100枚になった。

 「経営トップとしてテナントの方々に直接御礼をすることで、引き続き頑張っていただく」のが第一の目的だ。メッセージを手書きにし、直接会って話すことで「思いは伝わる」という。テナントからは好評だ。

 活躍しているテナントを挙げることを通じて、GMがテナントと日頃からコミュニケーションを取っているかを把握する狙いもある。現場とのコミュニケーションを強化するのも巡回の大きな目的だ。

 商業施設での新店オープンや接客ロールプレイング大会に経営トップが出向き、現場と積極的にコミュニケーションを取るアパレル企業も増えてきた。以前SCのロープレ大会で、上位に入れず涙を流す自社スタッフを社長が懸命に励ます光景も目にした。

 こうした企業は規模の大小を問わず、経営陣と現場の社員との一体感があり業績も順調だ。経営トップが現場を知ろうとする姿勢は従業員や取引先などに伝わり、企業力を高める。



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