《めてみみ》懐かしい防寒着

2024/06/24 06:24 更新


 先日、茨城県つくば市で、防寒着〝わた入れ〟作りの教室「はんてん屋」を運営する親子を取材した。自身が子供のころ、冬になると必ず着ていたわた入れを思い出した。40~50年前に住んでいた北関東は本当に寒かった。上京してからもわた入れを着続けてきたが、この15年ほどは着なくなってしまった。

 昔は家庭で作るのが当たり前だったという。コロナ下に家の中で過ごす時間が増え、わた入れが注目された。アウトドアブランドでもはんてん型のダウンアウターが人気だ。だが、今の若い世代はおそらくあまり知らないし、購入したとしても量販店などで低価格品を選ぶ人がほとんどだろう。こうした中でも、この教室が25年も続いていることに驚いた。

 取材では和裁による手作りの魅力を再認識した。低価格品と違い、綿のわたの量が少なく薄くても温かい。多少高くても着込むほどに体になじみ手放せなくなる。はんてん屋では地元つくば市での綿花栽培にも挑んでいるという。

 アパレル業界では気候変動による暖冬対策から、シーズンMDを見直す動きが強まっている。防寒アウターを絞り込むところが多いが、それでも寒い日は必ずある。今年の冬は、家の中で和裁の手作りによるわた入れを着て過ごすのもいいかもしれない。電気代の節約になるし、昔を思い出して気持ちも温まりそうだ。



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