薫風香る季節となり、各地でアートとファッションを結び付けたイベントが開催されている。群馬県前橋市の芸術文化施設、アーツ前橋では山縣良和のファッション表現を紹介する展覧会が始まった。「リトゥンアフターワーズ」で発表した初期から同展のために制作した最新作を展示し、繊維産業を担ってきた産地とその未来への糸口を示したものだ。
都内の21_21デザインサイトギャラリー3では、「イッセイミヤケ」の特別展示「フォーカス・オン・ストレッチプリーツ」が開かれている。ストレッチプリーツを新しい視点で表現するために、グラフィックデザイナーの岡崎智弘を迎えて企画した。マシンのリズムが響く会場内に、プリーツのピッチを少しずつ変えたプルオーバーを展示、ピッチの変化で表情が変わることを伝えている。
海の向こうでも、この時期はビッグイベントが相次ぐ。例えば、ニューヨークのメトロポリタン美術館は毎年5月に特別展覧会を開く。今年はコスチューム部門のパーマネントコレクションから、全く新しい見せ方で服飾の歴史を振り返る企画だという。
服という工業製品でありながら、ファッションはアートにつながるもう一つの側面を持っている。服と服を巡る生活スタイルが歴史となり、文化を育む。展覧会は、そんな視点を改めて考える良い機会かもしれない。