「結果的にOMO(オンラインとオフラインの融合)になっているに過ぎない。売り上げを伸ばすために、テスト的に一回離してみようかと」。リアル店舗と自社ECを持つアパレル経営者が話していた。スタイリング投稿アプリを導入して店頭に来る人がかなり増え、OMOが進んだとも言える。一方では「当然だが同じものは両方で買わない」実態が課題と見ている。
主力客層は40~50代の女性。比較的高価格帯の商品を販売しているため、元々顧客は店頭購買が主流。コロナ下でEC購入が拡大したが今は自社ECで検索、店頭来店で確認し、購入する流れが顕著になったようだ。顧客との接点が増えても、顧客のチャネルの「使い分け」は少なく、店頭への送客にとどまっているというわけだ。
一番の課題は、どちらのチャネルでも新規客獲得が進んでいないこと。「一回離してみる」とは、店頭は従来通り顧客主軸にして、ECはいわば新規客獲得に特化すること。品揃えが限られる店頭に対し、商品カテゴリーの幅や価格帯を広げるなど、ECでしか買えない商品の販売を検討している。
ブランドコンセプトを維持しながらEC専用商品・サービスを提案すれば、顧客の店頭とECの「使い分け」も生まれるはずとの仮説だ。OMOのビジネスモデルの確立はまだまだ過渡期であることがうかがえる。