《めてみみ》色あせない言葉

2024/04/03 06:24 更新


 香川県のJR坂出駅から徒歩数分の場所に、四谷シモン人形館がある。四谷氏は人形作家、俳優として活躍し、コシノジュンコさんらとの交流も深い。同地で財を成した鎌田醤油が、かつての迎賓館を改装して作った。入り口で出迎えるのが四谷氏の代表作品の一つ「ルネ・マグリットの男」だ。

 幼い頃のかすかな記憶がよみがえる。70年の大阪万博のシーンである。代表的な企業パビリオンの一つにせんい館があり、館内にはこれと同じ2メートル近い大男が並んでいた。残念ながら、館の全体は覚えていないが、2メートル近い人形が恐ろし気に見えた記憶だけは鮮明だ。

 せんい館は、東洋紡の社長・会長、繊維産業連盟の初代会長などを歴任した谷口豊三郎氏が日本せんい館協力会として出展した。写真を見ると、人形はもちろん、映像ドームや展示回廊、ファッションショー部門などを含む壮大なパビリオンである。当時の繊維産業が持っていたパワーを改めて感じる。

 2度目の大阪万博が1年後に迫る。繊維企業のトップからも期待の声が頻繁に聞かれるようになってきた。70年のせんい館は、素材からアパレルメーカー、商社、小売業まで60の諸団体が利害を超え、「繊維は人間生活を豊かにする」との思いで一致、協力したことが大きな成果だったと総括されている。時代は大きく変わっても色あせない言葉である。



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