《めてみみ》自然と共に

2024/03/22 06:24 更新


 近頃の小学校ではビオトープ作りの体験授業があると知った。「野生動物の生息する空間」を意味するビオトープ。小学校が失われた生態系を復元し、その地域に住む生き物を生息できるようにした空間作りを進める。授業では地域の大人がボランティアとして参加し、子供たちに環境を守る難しさを説く。

 メダカの採取や水路の整備を行い、鳥の巣箱を作って、木に掛ける作業を進めてきた。2~3月はシジュウカラが巣を探して飛び回り、卵を産んで子育てをする季節。「忙しく子育てをするシジュウカラの生態を見て、命の大切さや親の愛情を感じて欲しい」と協力したボランティアは言う。その授業に関しては、子供たちもどこか誇らしげで、自分たちが大切なことをしているという自覚が芽生えているように感じられた。

 親世代が義務教育を受けていた時代に、授業で環境保全について学んだことはあっただろうか。もちろん、今と違って都市部でももっと自然と触れ合う空間があった。その頃から徐々に人が自然を破壊し、危機的な現状を作り出した。しかし、若い世代は親たちよりもはるかに環境への意識は高いように思う。

 わが家の柿の木にかけた巣箱は、残念ながらこの春、シジュウカラに選ばれなかった。各地でウグイスがさえずる季節となる。人は自然と共にしか生きられない。



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