国連のアントニオ・グテーレス事務総長が今夏、「地球沸騰化の時代が到来した」と発言した。もはや地球温暖化という生易しい言葉では対応できない気候変動への危機感を表明したものだ。異常気象という言葉も終わりを告げ、これが「ニューノーマル」になるとも述べた。
こうしたコメントが大げさに聞こえないほど、地球全体に灼熱(しゃくねつ)や洪水が広がっている。もちろん日本も例外ではない。地震、台風などへの警戒を怠らないとしても、日々のゲリラ豪雨はいつ何時、どの場所に訪れるのかは想像できない。線状降水帯などの発生メカニズムも、まだ解明されていないと聞く。
大手企業は、災害時などのBCP(事業継続計画)対策を定め、新しい商業施設やオフィスビルなども設計時からBCP対策を織り込んでいる。ただ、日々の仕事に追われ、コロナ禍からの立て直しを急ぐ中小企業は、なかなか手が回らないのが現状だろう。
「本当にできることから実施しないと」とある縫製企業の社長は焦る。大掛かりな対策は難しいとしても、土を使わない吸水型土嚢(どのう)、防水シートを使った簡易な止水板などを調べ始めた。「まずは床から30センチ以内には、濡れて駄目になるものを置かない」ことから始める。9月1日は防災の日。自社に合わせた地球沸騰化対策を考えねばならない時代になった。