《めてみみ》店の土着化

2023/04/07 06:24 更新


 良品計画は今春、「無印良品」の小型店を前橋市と岡山市の商店街内に開設した。いずれも200平方メートル以下の小型店ゆえに、婦人服か日用品に品揃えを厳選している。店舗を大型にするブランド・ショップが多いなかで、国内で年間約100店の出店を予定する無印良品の今後の出店戦略が垣間見える。

 この2店には「一坪開業」というイベントスペースがある。出展者は地元の生産者や事業者が対象で、商店街への新規出店を支援する。以前から店の「土着化」を掲げて地域との連携を強めており、これも土着化した店舗運営の一環なのだろう。

 百貨店など地元企業とフランチャイズ契約を結び出店しているハンズの「プラグスマーケット」も地域との連携を重視した業態だ。「ハンズ」ゾーンに加えて、地元商品を発信・販売する「伝え場」があるのが特徴。20年に滋賀・草津に1号店を開設して以来、高知、埼玉・熊谷、山口・下関など7店に増えている。

 かつてのチェーン店戦略は全国共通フォーマット。効率的なチェーンオペレーションでの店舗運営が主流だった。それだけでは通用しなくなってきたのだろう。今は両社に限らず、地元の行政や作り手と連携した店舗運営が主流になりつつある。店舗を維持・発展させるためには人・モノ・器の〝土着化〟が求められているようだ。



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