3年ぶりにタイに出張している。コロナ禍前は年に約4000万人の外国人が訪れた観光大国で、7月に入国規制が緩和され、10月からは完全撤廃された。観光客の増加が経済成長を押し上げる。
マスク着用義務は基本撤廃されたが、タイ人の多くはマスクを着けている。電車の中も以前と違って、あまり話さず静か。この辺は日本とよく似ている。
ジェトロ(日本貿易振興機構)の調査によるとタイに進出中の日系企業は20年時点で約5900社で、17年の調査よりも400社以上増えた。事業の場として引き続き重要視されていることがわかる。
開業4周年を迎えたサイアム高島屋は、「日本らしさ」が差異化の根源。日本品の導入に加え、「再現力」をキーワードに食品などで、日本品質でありながらタイ調達により価格を抑えた商材を充実し、客層や価格帯を広げている。卸業者などタイの日本人コミュニティーによる「ネットワークが生きている」と運営するサイアム・タカシマヤ・タイランドの奥森淳誌社長。
帝人フロンティアグループのナムシリ・インターテックスはグループや華僑などのネットワークを活用し、新規開拓や東南アジアでの生産拡大を進める。経済成長ではベトナムなどに劣るかもしれないが、産業の多様性や様々なネットワークなどタイならではの強みがまだある。