《めてみみ》まずは実店舗

2022/10/17 06:24 更新


 「人気商品は自社ECサイトに全国から予約が殺到し完売することが多い」と地方のアメカジ専門店オーナー。モノによっては転売されるのが残念。「まず来店してくれる地元客に買ってもらいたい」との思いから、商品の入荷情報の発信で、実店舗とECにタイムラグを設けた。

 せっかく仕入れても予約で完売してしまっては、来店する意味がなくなってしまう。発注量を増やせばいいかもしれないが、個店で奥行きをつけるのはリスクが高く限界があり、小規模メーカーは追加対応が難しい。もし各店が人気商品を大量に発注したとしても、マニアックで小さな市場なので、すぐに供給過剰になり、ヒットは長続きしなくなる。

 20万円近い革ジャンがECで売れる時代。ECは地方の個店運営にとって欠かせないツールだが、そこだけに頼っていては危険だ。昨年暮れにEC依存度の高い同業他社の倒産を目の当たりにしたという。有名ブランドや人気商品が目的な客は店に愛情を持つことはないのだ。

 ジーンズの裾上げや修理などアフターサービスを開業当初から30年近く続けている。個店は地域に根差すので、地道な作業が顧客との信頼関係を深め、リピーターにつながっていく。アフターコロナには、コアなファンが集まるコミュニティーでもある実店舗の価値が見直されることだろう。



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