《めてみみ》第三の道

2022/04/13 06:24 更新


 ウクライナ問題を機に、国のかたちに関する様々な声が聞かれるようになった。分かりやすいのは、独裁・専制国家と民主主義国家を対比させる見方。後者が主流のように思いがちだが、米国のNGO(非政府組織)フリーダムハウスなどの調査によると、05年からの15年間で「自由」と呼ばれる国は89から82カ国に減少、「自由ではない」国は45から52カ国へ増えた。世界全体で見れば前者が増えているのが現実だ。 

 戦後のアジアを見ても、個人や一つの政党が権力を握ることで、経済発展を遂げた例は多い。特定の重点産業に傾斜した経済施策を打ったり、個人の権利を制限しても一気に道路網を建設したりするには、専制国家の方が効率的だ。

 「90年代には、中国が専制とも民主とも違う第三の道を指し示すのではないかと感じていた」とあるアパレルメーカーの社長。確かに、当時は民意を一定くみ取りながらも、効率的な国家運営を実現しているように思えた。実際に驚異的な経済成長を遂げ、世界第2の経済大国となった。

 問題はこれからだ。経済成長には、平和で自由な貿易体制を維持していくことが大前提になる。世界が二極化していきそうな流れのなかで、政治と経済のバランスをいかに取っていくのか。中国の動向は、日本の繊維・ファッション産業の戦略を大きく左右していく。



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